ウォーターサーバーの悪質勧誘の背景と対策は?業界団体のJDSAに聞いてみた

更新日時
JDSA丸尾氏のインタビューシーン

本記事はミズコムと提携する企業のPR情報を含みます。 広告収益がどの商品・サービスを掲載するか、どこに掲載するかに影響を与える可能性はありますが、 記事の内容や商品・サービスの評価は独自に行なっています。

ウォーターサーバーのことを検索したり、SNSなどで調べていると、勧誘トラブルについての情報を多く目にします。

実際、消費者庁や国民生活センターも注意喚起を行っており、2023年に全国の消費生活センター等に寄せられた相談は、2022年度に比べて1.4倍(※)になっているそうです。

※国民生活センター(ウォーターサーバーの勧誘トラブルにご注意!)

インターネットで検索した際にも「騙された」「詐欺」「うざい」など、サジェストとしてネガティブなキーワードが並ぶことも多く、ウォーターサーバー業界全体に不信感を持つ人もいるのではないでしょうか。

そこで、ミズコム編集部はウォーターサーバーの業界団体であるJDSA(日本宅配水&サーバー協会)にお話を聞いてみることにしました。

協会が把握しているトラブルの背景や実態、そして悪質な勧誘によって契約してしまった場合の対処法について、率直にうかがってみました。

お話をうかがった人

JDSA(日本宅配水&サーバー協会)広報委員会・座長

丸尾裕之さん

JDSA丸尾氏

一般社団法人 日本宅配水&サーバー協会(JDSA)とは?

宅配水・ウォーターサーバー業界の健全な発展を促すリーダーシップを発揮することを目的として設立された団体。2025年8月現在、正会員25社・準会員1社・協賛会員44社・特別会員1社の計71社が加盟している

JDSAトップページの画像

勧誘トラブルが起きる背景とは?

女性のイラスト ミズコム
編集部

まずは単刀直入に、世の中でウォーターサーバーの勧誘トラブルが発生していること、消費者庁や国民生活センターなどから注意喚起が出ていることについて、JDSAとしてはどうお考えでしょうか?

国民生活センターのスクリーンショット

出典:国民生活センター

JDSA丸尾氏(左向き) JDSA
丸尾さん

もちろんウォーターサーバー業界にとってイメージが良くないことなので、ぜひ取り締まってくださいという思いではあります。

我々も消費者庁や国民生活センターからヒアリングも受けましたし、注意喚起が出ていることに関しても、ぜひそれが周知されていけばいいと思っています。

女性のイラスト ミズコム
編集部

JDSAに加入しているウォーターサーバー会社は、そういった悪質な勧誘はしていないということですね?

JDSA丸尾氏(左向き) JDSA
丸尾さん

加入会社にアンケート調査を行い、そういった勧誘や指導は行っていないという回答が得られています。

ただ、加入している会社にもそれぞれ営業を委託している代理店がありますので、代理店にまでその姿勢が浸透しているかどうかについてはわからない部分もあります。

注意喚起によって悪質な業者や勧誘方法を排除する方が業界にとって健全なので、ぜひこういった情報が浸透していってほしいですね。

女性のイラスト ミズコム
編集部

なるほど。ウォーターサーバーの勧誘は、ウォーターサーバー会社が直接行う場合と、代理店などに委託する場合があるのですね。

JDSA丸尾氏(左向き) JDSA
丸尾さん

そうですね。ウォーターサーバー会社の社員が直接営業をする場合は、そういったトラブルは少ないと思います。

もちろん「直接営業している場合、トラブルはゼロ」というわけではないですが、寄せられている声としては圧倒的に、営業を委託された業者の場合が多いですね。

女性のイラスト ミズコム
編集部

聞くところによると、ショッピングモールの催事スペースで行われている勧誘に関して、トラブルが多いようです。

ショッピングモールの写真
JDSA丸尾氏(左向き) JDSA
丸尾さん

そうですね、ウォーターサーバー各社はいろいろな方法で営業活動を行っていると思うのですが、ショッピングモールでの勧誘はその一つです。

ショッピングモールでのご案内以外に、例えば自宅や職場に訪問して説明をするという方法もあります。その場合はウォーターサーバー会社の社員が営業をすることが多いです。

一方、ショッピングモールの催事スペースにおいては、もちろんウォーターサーバー会社の社員が営業をすることもありますが、営業専門の会社がやっている場合も多いのですね。「1件契約を取ったら、いくら報酬が出る」といった感じで委託されている状態です。

そのため、契約を取ろうとして行き過ぎた営業をする場合があるのではないかと思います。

営業をする場面のイラスト

また、営業を委託された会社はサービス内容をどこまで深く理解しているのか?という問題もあります。そもそもショッピングモールではわずかな期間しか営業活動を行っておらず、来週行ったらもうその会社はいない、といった場合もあります。

そういった要素が積み重なって、行き過ぎた営業や説明不足というのが起きているのだと思いますね。

女性のイラスト ミズコム
編集部

具体的に、勧誘トラブルというのはどういった内容なのでしょうか?

JDSA丸尾氏(左向き) JDSA
丸尾さん

よくあるパターンとしては「契約書の下の方に、解約金などの条件について説明が書いてある」というものです。

契約書には記載されていますが、十分に確認をしないままサインをさせられることもあり、契約者としては「サインはしたけど話は聞いていない」という状況になってしまいます。

一方、業者としては「説明しました」と主張してトラブルになるケースですね。解約しようとすると高額な解約料が必要になることについてのトラブルが多いです。

契約書にサインするイメージ
女性のイラスト ミズコム
編集部

私も国民生活センターに寄せられているトラブルのケースをいろいろと見たのですが、営業担当者に「30分後の新幹線で帰らないといけない」といったことを言われ、急いで契約したというケースもありました。

そういった、人の親切心につけこむようなやり方をしてるとしたらひどい話ですよね。

JDSA丸尾氏(左向き) JDSA
丸尾さん

先ほども言ったとおり、営業を請け負っている業者だと「来週はもうそこにいない」とか「明日にはもうそこにはいない」という場合もあるので、トラブルが起きやすくなっているのかと思います。

昔は携帯電話もそういったやり方で営業をしていましたよね。携帯電話については監督官庁の総務省からの指導が入ったのでなくなったのですが、ウォーターサーバーに関しては現状、そういった監督官庁がないためトラブルが起きやすい状態になっていると言えます。

女性のイラスト ミズコム
編集部

行政の方で、何か動きなどはあるのでしょうか?

JDSA丸尾氏(左向き) JDSA
丸尾さん

解約金については、消費者庁で「解約金のあり方」についての検討が進められているようです。それはウォーターサーバーに限った話ではなく、さまざまなサービスの契約に関して、解約金が高すぎるのではないかと。

解約金というのは本来、営業がマイナスにならないための保険的な意味合いだったもののはずが、解約金が料金プランの一部として設定されているようなケースも見受けられます。そういった実態について消費者庁で議論が進んでいるようですね。

女性のイラスト ミズコム
編集部

なるほど。まずは解約金に関する議論が進んでいるのですね。そういった議論が進んでいく過程で、もしかしたら営業方法についても何かしら監督や指導が入っていくかもしれませんね。

ちなみに、JDSAとして何か取り組んでいることはありますか?

JDSA丸尾氏(左向き) JDSA
丸尾さん

「こういった事例があるのでご注意ください」という一般向けの広報活動と、加入している会社に対しては、こういった勧誘はしないようにという案内ですね。

JDSA公式サイトのお知らせ

※出典:JDSA公式サイト(ウォーターサーバーの勧誘トラブルについて

実際のところ、JDSAとしてはそういった情報を発信し続けるしかありません。我々は行政ではないので、取り締まったり罰則規定を作ったりはできないのです。

女性のイラスト ミズコム
編集部

確かに、業界団体は強制力を持つことはできませんから、まずは注意喚起を浸透させていくことが必要ですね。

ここまでのおさらい
  • 勧誘トラブルの内容は解約金に関するものが多い
  • 営業を委託された会社の場合、行き過ぎた営業がある可能性

ショッピングモールでの悪質勧誘で契約した場合の対策

女性のイラスト ミズコム
編集部

仮にショッピングモールで契約して、その後に解約したくなった場合はどうなるのでしょうか?泣き寝入りして解約金を支払うしかないのでしょうか?

JDSA丸尾氏(左向き) JDSA
丸尾さん

ショッピングモールの催事スペースでの勧誘は、クーリングオフの適用対象となります。ただこの点を理解されていない人も多く、自宅への訪問販売ではないので、適用されないと誤解されているケースが少なくありません。

女性のイラスト ミズコム
編集部

クーリングオフできるのですね!

JDSA丸尾氏(左向き) JDSA
丸尾さん

期間内(※8日間)であれば対象ですね。しかし勧誘トラブルを起こすような業者は、クーリングオフできるという話もしません。そのため契約したあとに泣き寝入りしている人も多いです。

また、ユーザーは催事場では営業代行の業者さんに名刺をもらうので、そこに問い合わせると「クーリングオフできません」という回答をされる場合も多いらしいです。

もちろん、実際にウォーターサーバーのサービスを提供している会社に問い合わせれば「可能です」という回答になるのですが、営業代行の会社に問い合わせて丸め込まれてしまう可能性もあります。

女性のイラスト ミズコム
編集部

ショッピングモールでの勧誘の場合、そういったところにも注意が必要ですね…。

ここまでのおさらい
  • 8日以内であればクーリングオフ(契約解除)が可能
  • 問い合わせる際は名刺をもらった営業担当者ではなく、ウォーターサーバー会社か消費者センターへ

まとめ

女性のイラスト ミズコム
編集部

今回いろいろとお話をうかがってきましたが、勧誘トラブルを避けるためには「消費者のリテラシー向上」がもっとも現実的で効果的であるような気がします。

そもそも、ウォーターサーバーは長く使うものですからね。ショッピングモールなどで勧誘されて「その場で決める」というのは、あまりいい選び方ではないと思います。いったん持ち帰って、いろいろなサーバーについてよく調べて検討した方がいいですよね。

JDSA丸尾氏(左向き) JDSA
丸尾さん

おっしゃるとおりだと思います。

女性のイラスト ミズコム
編集部

「いったん持ち帰ってよく検討する」という部分では、ミズコムがお役に立てると思います。これからもユーザーがわかりやすく比較検討できるように、有意義な情報を発信していきたいと思います。

今回はいろいろと教えていただきありがとうございました!

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