水道水を沸騰させたらダメ?正しい沸騰時間で不純物を取る方法

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水道水って沸騰させたほうが安全なのかな
沸騰させた水道水は逆に危ないって本当?」

日本の水道水の質の良さは、世界のなかでもトップクラスといわれています。 しかし、水道水は日常的に使用するもの。
浄水処理をする過程で発生する成分や臭いが気になる人もいることでしょう。

臭いなどが気になるときに昔から行われている対策が「沸騰」です。
ただし、沸騰させるとかえって体に良くないというウワサも。実際にはどうなのでしょうか。

この記事では、水道水を沸騰させて飲む方法や赤ちゃん用の湯冷ましの作り方、沸騰後の水道水の安全性、さらには不純物を取り除くその他の方法についても紹介します。

水道水を沸騰させて飲む方法

水道水を沸騰させるのは、水道水の浄水処理の過程で含まれる成分を除去する方法として知られています。

しかし、混入物を除去し安全性を高めたいなら一定時間の煮沸が必要

ここでは、水道水を安心して飲むための沸騰時間や方法について具体的に紹介します。

成分除去にかかる沸騰時間とは

沸騰しているお湯  

結論から言うと、水道水に含まれる主要な不純物を除去できる煮沸時間の目安は10分程度です。

理由は、発がん性が疑われる物質のトリハロメタンを除去するためには、10分以上の煮沸が良いとされているため。塩素などの主な物質は5分程度の煮沸で良いとされていますが、トリハロメタンに関しては、5分程度で沸騰を止めてしまうと逆に増加してしまうので注意が必要です。

水道水から不純物を除去するのにかかる沸騰時間は、含まれている成分の特徴や煮沸条件によって変わります。

水道水に含まれているものは、消毒のために注入された成分や、それに反応して生成された物質などさまざまで、成分の特徴もそれぞれ違います。

それらのなかでも、残留塩素と有機物は、混入している分量が多いとイヤな臭いの元になったり味を損なう可能性がある物質とされています。

塩素の化学反応により発生するカルキ臭は、煮沸を行えば成分を減らして臭いを抑えることができます。

ただし、塩素を除去したいときには5分ほどの煮沸が必要です。その後、冷蔵庫などで冷やすと飲みやすくなります。

塩素に加えて、揮発性を持つ主な有機物である総トリハロメタン、トリクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレンについて、除去に必要な沸騰時間を調べた実験結果を併せて示しているのが下記の表です。

有機物の沸騰時間は、沸騰が始まってから、1Lあたり0.0001mg未満の微量になるまでにかかった時間を示しています。

主な成分 除去に必要な沸騰後の煮沸時間
塩素
トリクロロエタン
ジクロロエチレン
トリクロロエチレン
5分
総トリハロメタン 10分

上記の表に記された各成分における煮沸時間は、沸騰によって成分が気化し、水道水から抜けるのにかかる時間です。

含有成分や煮沸条件により異なる場合はあるものの、「水道水は沸騰後に最低10分は煮沸を続けるのが良い」というのが結論でしょう。

(出典:札幌市水道局

鍋の場合

家庭でカルキを抜きたい場合に一般的に利用されるのが、鍋に水道水を入れて沸騰させる方法。

水温を十分に上げるためにフタをして沸騰し、沸騰し始めたら蒸気を逃すためにフタを取り外します

沸騰後10分以上加熱を続けたら火から下ろし、冷ました後に冷蔵庫で冷やしてから飲むとカルキ臭を感じにくく飲みやすくなります。

ケトルで沸かす場合

ケトルで沸かす場合も、鍋と同じく沸騰後の煮沸時間の目安は10分以上です。

気化しやすいように、沸騰が始まったらフタを外します。

フタ部分の口が広いタイプのやかんを使用すると、気化しやすくスムーズです。

ただしこの方法は、途中でフタを取ったり、場合によっては新たに口の広いタイプのやかんを用意したりしなければならない手間があります。

赤ちゃんの湯冷ましに使用する場合は?

仰向けに寝ている赤ちゃん


湯冷ましとは、沸騰させて一定時間煮沸して冷ました水のこと。昔から赤ちゃんに飲ませる水として知られています。

沸騰・煮沸させて冷ます目的としては、塩素やそのほかの不純物を取り除くため。では、水道水に含まれている成分をできる限り取り除くためには、どれくらいの煮沸が必要なのでしょうか。

ここでは、赤ちゃん用の湯冷ましの作り方(煮沸時間)と、煮沸後に保存できる期間について紹介します。

最適な沸騰時間

水道水に含まれている不純物は、沸騰後10分ほど煮沸すると除去できるとされています

ただし、除去できているかどうかは、もともと水道水に含まれている成分量や煮沸条件によっても変わってきます。

実際には、減少しているだけで、まだ水のなかに不純物が残っている場合もあるのです。

残存量をほぼ0%にしたいのであれば、正しい方法で除去することが必要であり、含まれている成分によっては最低でも45分以上の沸騰を必要とするという調査結果もあります。

沸騰して不純物を除去したあとの水の保存期間

湯冷まし  

沸騰後の水は長期間の保存ができず、できるだけ早く飲み切らなければなりません

細菌を消毒する効果を持つ成分を沸騰により取り除いてしまうということは、見方を変えれば、細菌が繁殖しやすい環境になるということです。

つまり、そのままの水道水よりも沸騰したあとの水のほうが、雑菌が増えるリスクは高まります。

各自治体が災害時対策として発信している水道水の保存情報によると、そもそも消毒剤が入っている水道水であっても、飲食に使用することが可能な保管期間の目安は冷暗所で3日程度冷蔵庫で10日程度です。

消毒剤が入っていない水は雑菌の繁殖が進みやすいため、より一層保存期間に気を付けなければなりません。

また、細菌は水温が上昇すると繁殖率が高まるので、少しの間の保管でも冷蔵庫に入れておいたほうが安心です。

さらに、保管する際には、外部からの雑菌の侵入と繁殖を防ぐために、フタがしっかりとしまる清潔な容器に入れることもポイントです。

家庭で沸騰した水を保管する場合、細菌の繁殖を防ぐ対策を正しく守って管理することは簡単ではありません。

赤ちゃんへの安全を考えるなら、沸騰した水の保存はしないほうが安心でしょう。

水道水を沸騰したあとの水の安全性

沸騰により、水道水に含まれている不純物の量を減らしたり、純水に近い状態にしたりすることはできますが、沸騰時間を考える際に特に気を付けておきたい成分があります。

ここでは、加熱の際に他の成分とは異なる特徴をみせるトリハロメタンに着目しながら、沸騰後の水道水の安全性について解説します。

「トリハロメタン」に関する沸騰時間

白湯を作っている女性  

蒸発しやすい性質を持つ成分は加熱すると、沸騰する前から濃度が減少し始めることが通常です。

しかし、トリハロメタンは、他とは異なる性質を持つため気を付けなければなりません。

トリハロメタンにはブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム、クロロホルムの4つの種類があり、すべての濃度を合計したものを総トリハロメタンといいます。

4種類のいずれの物質も気化する性質があるため、沸騰により成分量を減らすことは可能です。

ただし、沸騰時間については注意しなければなりません

下記の表は、沸騰によるクロロホルム量の変化を、同じく水道水に含まれているテトラクロロエチレンと比較したものです。

沸騰後の経過時間ごとに、加熱前の量に対する残存量の割合を記しています。

クロロホルムは4種類中で最も生成量が多い物質です。

沸騰後の経過時間 クロロホルム テトラクロロエチレン
沸騰時直前 3倍以上 1/4以下
5分 2倍 1/8
30分 1/4以下 0
45分 0 0

沸騰時直前に残っている量の割合をみると、テトラクロロエチレンはすでに減少していますが、クロロホルムは急激な増加がみられます。
クロロホルムには、他の物質とは異なり、加熱後から沸騰するまでの間に増量する性質があるからです。

このようなことから、トリハロメタンを除去したい場合、沸騰後も継続して加熱時間を取る必要があります。
沸騰してから5分後くらいまでは加熱前より成分量が多くなりますが、それ以上経過すると気化して減り始めるので、10分以上沸騰を続けると安心です。

沸騰後すぐに加熱を止めると、加熱前よりも濃度が高くなり、逆効果となることがあるため気を付けましょう。

「トリハロメタン」はどのくらい除去できるのか

トリハロメタンの一種であるクロロホルムを例に挙げた先の表で示したとおり、沸騰後45分程度加熱を続けると0に近い数値まで成分を取り除けます。

トリハロメタンは揮発性を持った物質だからです。

沸騰した後も加熱することで、成分は気化し続け、0にかなり近い量まで減らすことができます。

その他の物質からみる水の安全性

水道水をコップに注ぐ画像  

水道水の消毒に欠かせないのが塩素です

浄水場で水を消毒する際に注入された塩素は、家庭などへ届くまでの間に効果が消えないよう、注入量が調整されています。

つまり、蛇口に届くときには必ず水道水のなかに塩素が残っているということです。

また、鉛製給水管を使用している場合には停滞した水に鉛が溶ける可能性があります。

鉛は体内に蓄積されると中毒化しやすい物質です。

ただし、水質基準の設定や水道管の敷設替などの対策が取られているため、臭いなどが残ることはありますが、健康への影響はありません。

水道水を沸騰させる以外で不純物を除去する方法

やかんや鍋を使って水道水の不純物を除去する方法は、水を使用するたびに沸騰しなければならず、どうしても時間と手間がかかります。

さらに、沸騰が始まったらフタを開けなければならなかったり、せっかく作っても保存が効かなかったりなど、忙しい毎日のなかでは使いにくい方法ですよね。

そこで、沸騰以外に手軽にできる2つの除去方法を紹介します。

手間を省いてできるだけきれいな水を飲みたいときに便利に利用できるのが、浄水器やウォーターサーバーです。

浄水器

浄水器のイラスト

浄水器はフィルターを通すことで水道水の不純物をろ過してくれる機器で、用途により大きく5つのタイプに分けられます。

浄水器のタイプ別特徴
蛇口直結型 蛇口に直接取り付けて使用。
値段が手ごろなうえ、自分で取り外しができて管理がラク。
水栓一体型 最初から水栓にフィルターが組み込まれていて設置する手間がない。
ビルトイン型 キッチンのシンク下に設置するので取り付けが大変。
専門業者による工事が必要となり費用がかかるが、ろ過量は多く除去力は高い。
据え置き型 蛇口などにホースでつないで使用。
ろ過量は多く、壁に掛けたり流し台に置いたり、用途に応じて設置可能。
しかし、蛇口直結型と比べて場所を取るのが難点。
ポット型 ろ過材は内部に組み込まれていて持ち運びができ、使用場所を選ばない。
ただし、ろ過量は少ない。

いずれのタイプの浄水器も安全に使用するためには雑菌が繁殖しないように十分な管理が必要です。

定期的にろ過材を交換し、浄水器内に長時間水をためないように注意しなければなりません。

ろ過材の交換を定期的に行わないと水道水から取り除いてたまっていた成分が浄水器内で再び溶けて、もとの水道水よりも不純物の濃度が高くなることがあります。

ウォーターサーバー

ウォータースタンド ナノラピアネオの画像

(出典:ウォータースタンド

ウォーターサーバーのメーカーが提供している水は、各メーカーで厳しい基準を設け、不純物除去や殺菌処理などを終えています。沸騰・煮沸して不純物を除去させる必要がなく、そのまま水とお湯が使えるので便利です。

ウォーターサーバーのなかで、水道水を使う「水道直結型サーバー」のウォータースタンドを紹介します。

ウォータースタンドは、水道水を浄水精度が高いフィルターでろ過して使うウォーターサーバー。水道水なので水代が安く、毎月定額制で「飲み放題」と言えます。

ウォータースタンド(水道直結型ウォーターサーバー)の主な特徴
・特殊な自社フィルターで水道水の中の不純物(トリハロメタン)や塩素を除去
・高性能フィルターで不純物を除去した純水に限りなく近い水
月額料金 3,980円〜(機器のレンタル代のみ)
ほかポイント ・ボトルの注文・交換・保管・廃棄が不要
・設置工事は必要だが、一度取り付けると定額制のため飲み放題かつ使い放題

不純物を取るには、どの方法が一番お得でラク?

水道水をキレイにして飲む方法として、「煮沸させる方法」と「浄水器」や「ウォータースタンド」、どれが一番いいのでしょうか?

下記の表に、項目ごとにまとめてみました。

方法 安全性 手軽さ 料金 除去力
ヤカンや鍋で煮沸 ×
浄水器(蛇口直結型)
浄水器(水栓一体型)
浄水器(据え置き型)
浄水器(ビルトイン型) × ×
浄水器(ポット型) ×
ウォータースタンド

安さや手軽さなど、何を優先するのかは人それぞれかと思いますので、自分に合った方法で水道水をより安心して飲める工夫をしてみてくださいね。

(出典:神奈川県衛生研究所一般社団法人 浄水器協会

水道水の安全性

検査している男性  

水道水は適切な浄水処理が行われていて、水道法第4条に基づく51項目の「水質基準」と26項目の「水質管理目標設定項目」で、不純物における含有濃度の値が定められています。

しかし、本来であれば摂取しないような成分が微量ながらでも含まれていることを考えると、飲料や料理などでの使用に不安を感じる人もいることでしょう。

そこで最後に、水道水が作られる過程や含まれている成分などから水道水の安全性についてみていきます。

水道水はどのように作られるか

水道水の水源は、河川や貯水池、地下水などです。

原水は、浄水場へ送られると薬品が注入されます。

薬品により細菌などが凝集され沈殿すると、上澄みをろ過し消毒を行います。

沈殿せず除去できなかった物質については、さらに別の処理方法を併用して取り除きます。

そして、消毒が無事に終了するとポンプ場へ送られ、各家庭などに水道管を通して配られるというのが大まかな流れです。

水道水をそのまま飲む場合の不安とは

サプリメントを飲もうとしている女性の様子  

水道水に含まれる成分含有量の基準値は人体に影響がない範囲で定められています

しかし、基準値内の微量とはいえ、トリハロメタンや残留塩素といったリスクのある成分も含まれているので、摂取し続けることに不安を覚える人も少なくありません。

小さなお子さんがいる家庭であればなおさらでしょう。

水道水に含まれる成分の紹介

まずは、水道水に入っている成分の一覧を見てみましょう。

発がん性の疑いや臭いの発生の原因となる可能性がある主な成分と濃度は、以下でまとめています。

主な消毒薬の種類 濃度の基準または目標値 リスク
残留塩素 1mg/L以下 カルキ臭の恐れあり
総トリハロメタン 0.1mg/L以下 発がん性の疑い
ジオキサン 0.05mg/L以下
ジクロロメタン 0.02mg/L以下
テトラクロロエチレン 0.01mg/L以下
クロロホルム 0.06mg/L以下
ブロモジクロロメタン 0.03mg/L以下
ブロモホルム 0.09mg/L以下
トリクロロエチレン 0.01mg/L以下
ベンゼン 0.01mg/L以下
ジクロロ酢酸 0.03mg/L以下
臭素酸 0.01mg/L以下
トリクロロ酢酸 0.03mg/L以下
ホルムアルデヒド 0.08mg/L以下
鉄及びその化合物 鉄の量に関して、0.3mg/L以下 鉄サビ臭の恐れあり

浄化処理の過程でも、量が多いとリスクのある成分が含まれることがあります。

たとえば、塩素殺菌の際に原水に含まれている物質に反応して発生するトリハロメタンは、発がん性があることが疑われている物質です。

また、トリハロメタンの一種であるクロロホルムは、かつて麻酔剤として使われていました。

「鉄及びその化合物」に関して、水道管の一時的な鉄サビのはがれや残留性塩素の使用により、水道水に鉄サビやカルキ臭が発生することがあります。

過去には貯水池などでのプランクトンの発生などによってカビ臭を感じるケースもありました。

水道水にはどのような成分がどれくらいの量で入っているのか知っておきたい人は、参考にしてみてください。

 

<ミズコム編集部より>

 

新型コロナウイルス感染症で影響を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

現在、ウォーターサーバー各社は新型コロナウィルス感染症に対する対応を公表されております。

検査工程で製品(ボトル)と人の接触はありますが、作業スタッフのアルコール殺菌及びマスク着用、検温管理を徹底されるなど新型コロナウィルス感染症の対策をされています

また、配達員のマスク着用や、玄関前への出し置きや宅配BOXの利用など対面でのお届けをできる限り少なくする対応もされています。

各メーカーの対応について詳しく見たい方は、「ウォーターサーバー各社の新型コロナウィルス感染症の対策まとめ」をご覧ください。

この記事のまとめ

  • 日本の水道水に含まれる成分は、国が定めた基準内なので体に害はない。しかし微量ながら体に良くない成分があるのは事実
  • 沸騰させることで水道水に含まれている不純物を減らすことは可能だが、純度の高い水を作りたいなら長時間の煮沸が必要
  • 手間を省いて水道水の不純物を除去したいなら、浄水器やウォーターサーバーを利用するのも手

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