そもそもPFASって何?基礎知識から聞きました
(引用 環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」https://www.env.go.jp/water/pfas.html)
まずは「そもそもPFAS(ピーファス)って何?」という初歩的なところから聞いてよろしいでしょうか?
PFASというのは「人工的に作られた有機フッ素化合物の総称」です。全部で何種類あるのかというと、アメリカでは1万2000種類以上、ヨーロッパでは4800種類以上と言われています。
えっ!そんなに種類があるんですか!?
ただ、この数についてはPFASの定義によるものなので、あまり気にしなくていいかと思います。
世の中では「PFAS=有害」と考えられていることが多いので、これだけの数があると不安に感じる人が多いかもしれませんが、PFASのすべてが有害というわけではありません。「その中でも有害なものが世界的にもピックアップされている」ということなんです。
つまり有害なものは「特定PFAS」というのが正しい呼び方だと思うのですが、具体的にいうとPFOS(ピーフォス)、PFOA(ピーフォア)、PFHxS(ピーエフヘクスエス)の3つが規制の対象となっています。
現在、規制の対象になっている特定PFASの種類
- PFOS(ピーフォス):パーフルオロオクタンスルホン酸
- PFOA(ピーフォア):パーフルオロオクタン酸
- PFHxS(ピーエフヘクスエス):ペルフルオロヘキサンスルホン酸
日本の水道法でいうと「PFOS及びPFOA」というのが正式名称ですね。水質基準の一つの項目で「PFOS及びPFOA」という一つの単語だと思ってください。PFOSとPFOAの合計値で、目標値を定めています。
そもそもそれらの物質は、何のために使われていたのでしょうか?なぜ今、問題になっているのですか?
PFASは水や油をはじき、熱に強いという性質を持っています。そのため、昔に製造されていた「こびりつかないフライパン」や、水をはじく衣類、その他としては半導体の製造や大規模火災の消火剤などにも使われてきました。
これらが工場の排水に含まれていたり、あるいは消火剤が散布されたりすることなどによって土壌を汚染し、地下水や河川水に入り込んでいる可能性があるのです。PFASは自然界でほぼ分解されないものですから「永遠の化学物質」などと呼ばれることもあります。
国際がん研究機関ではPFOSを「発がん性がある可能性がある」、PFOAを「発がん性がある」と認定していて、健康に被害があるというのがわかっています。
(内閣府・食品安全委員会の資料
https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/pfoa_and_pfos_faq.html)
日本では特定PFASを「目標値」で管理している
なるほど…。人体に有害であるということがわかったということは、現在は規制されているんですよね?
そうですね。有害物質なので当然、現在では世界的に規制が入っています。ストックホルム条約ではPFOSは2009年、PFOAは2019年に製造・使用が原則禁止になりました。
けっこう最近なんですね…
そうですね。PFOAに関して規制されたのは、たった5年前です。
飲料水については各国が安全の目安となる数値を示していて、日本では2020年の4月1日に水道法の水質管理目標設定項目で、「50ナノグラム」というのが目標値として設定されました。アメリカでは2024年の4月10日、PFOSとPFOAの合計で「4ナノグラム」の基準値を定めました。
ちょっと待ってください。日本の目標値が「50ナノグラム」で、アメリカでは「4ナノグラム」なのですか?
そうですね。ここでポイントになるのは「アメリカの基準値は日本の1/10以下」であるということと、アメリカの場合は「強制力がある基準」というところです。
ということは…日本で規制されている目標値は強制力ではないということでしょうか?日本の水道水に関する規制について、詳しく教えてください
日本の水道水というのは、以下の図のように3段階に分けられています。
(引用 環境省「水質基準について」https://www.env.go.jp/water/water_supply/kijun/index.html)
一番上に位置している「水質基準」というのは「飲める・飲めない」を分ける、絶対に守らなければいけないものです。
ここに指定されているのは51項目で、このうち1項目でも基準値をオーバーしていたら、それは水道水として流してはいけなくなります。この項目としては、例えば大腸菌などが含まれますね。
2段階めの「水質管理目標設定項目」というのは「より良い水道水」を供給するための目標値です。目標値を超えても「ただちに飲用不可」とはなりません。ですので、ここに定められている物質に関しては、しばしばどこかの浄水場で「検出された」といったニュースがあったりします。
ちなみにPFOSおよびPFOAはこの2番目の項目として管理されているということになります。
ということは、つまり…。日本では「PFOS及びPFOA」が目標値を超えていたとしても「水道水として不可」になるわけではないんですね?
そうなりますね。日本で強制力のある項目というのは、あくまでも1段階めの51項目だけなのです。日本においてPFOS及びPFOAは2段目の「水質管理目標設定項目」で管理されているため、新聞や雑誌などで「強制力がない」と書かれることもありますね。
日本で検出された事例は?今後の法規制は?
そういった情報を知ると不安になってきますが…。ちなみに日本の水道水から特定PFASが検出されたことはあるのでしょうか?
2024年6月に放送された、NHKの「クローズアップ現代」では、PFOS及びPFOAが検出された浄水場についての報道がありました。
日本全国の浄水場の中で、目標値(50ナノグラム)を超えたことがあった浄水場が2か所あり、「50ナノグラム以内ではあるが検出されたことがある」という浄水場も216か所あるという内容でした。
それはショックですね…。そもそもこの目標値も、アメリカに比べるとかなり緩いわけですし…。
こういった報道を見ると「水道水は飲まずにミネラルウォーターを飲もう」などと考える人もいると思うのですが、天然水は大丈夫なのでしょうか?
2024年7月、神戸市内の企業が製造したミネラルウォーターから特定PFASが検出されたというニュースがありました。
複数ある原水の地下水を調べたところ、最大で目標値の約6倍のPFOS及びPFOAが検出され、商品のペットボトル内からも100ナノグラム程度が検出されたそうです。もちろんメーカーがすぐに対策して現在は問題ないとのことですが。
水道水にしてもミネラルウォーターにしても、もとをたどれば河川や地下から採水しているわけですから、そこが汚染されていればどちらにも影響が出るのは当然といえば当然ですよね…。
こうなると法整備での対応に期待したいところですが、日本では、特定PFASの目標値の数値を見直したり、そこに強制力を持たせるといった議論はないのでしょうか?
専門家会議で、暫定目標値の見直しについての議論が始まっているようです。水道法は毎年4月1日に施行されるので、もしも変わるのであればPFOS及びPFOAの目標値が見直されるか、または51項目の中に入ってくるのか、何かしらの見直しが行われるのではないでしょうか。
ぜひとも、そういった動きに期待したいですね。
浄水器で特定PFASは除去できる
法改正には期待するしかないので、自分たちで対策する方法も知っておきたいです。特定PFASを取り除くためにはどうすればいいのでしょうか?例えば「煮沸したら消える」とか、そういうものではないのですよね…?
残念ながら煮沸では除去できないですね。取り除くためには、浄水フィルターを通すしかありません。
やはりそうですよね。自然界でほぼ分解されない物質ですから、煮沸などで取り除けるはずがないですよね…。ウォータースタンドさんのウォーターサーバーは、PFOS及びPFOAを除去できるのでしょうか?
はい。ウォータースタンドのすべての製品で、浄水器協会(JWPAS)自主規格の試験によってPFOS及びPFOAを除去できることが証明されています。
「ナノシリーズ」の製品は、JIS規格の17項目+JWPAS規格の4項目を除去することができます。
↑ナノシリーズの水道直結型・卓上サーバー「アイコン」
↑ナノシリーズの水道給水型(自分で水道水を注いで使うタイプ)床置きサーバー「ピュアライフ」
「プレミアムシリーズ」の製品は逆浸透膜(RO膜)フィルターを採用しており、上記の17+4項目はもちろん、水中の不純物を99.9%除去したピュアウォーターを作ることができます。一番除去するのが難しいと言われている放射性物質も除去することができます。
↑プレミアムシリーズ「S3」
「17+4項目」の意味とは?
「17+4項目」という、ちょっと特殊な表現が出てきました。これについて詳しく教えていただけますか?
会社によっては、除去できる物質について「トータルで○項目」という書き方をしているところもありますが、ウォータースタンドでは「17+4項目」という書き方をしています。
この意味としては、まず「17」というのはJIS規格です。「+4」というのは、まだJIS規格になっていない、浄水器協会の自主規格ですね。
JIS規格の17項目 | |
---|---|
遊離残留塩素 | 総トリハロメタン |
クロロホルム | 2-MIB (2-メチルイソボルネオール) |
ブロモジクロロメタン | CAT (2-クロロ-4,6-ビスエチルアミノ-1,3,5-トリアジン) |
ブロモホルム | 溶解性鉛 |
トリクロロエチレン | ジブロモクロロメタン |
テトラクロロエチレン | 濁度 |
陰イオン界面活性剤 | ジェオスミン |
フェノール類 | 1,2-DCE(シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン) |
ベンゼン |
浄水器協会(JWPAS)の自主規格による4項目 | |
---|---|
アルミニウム(中性) | 鉄(微粒子状) |
四塩化炭素 | 有機フッ素化合物(PFOS及びPFOA) |
ちなみに浄水項目に関する規格は、浄水器協会で試験方法が決められて、それがそのままいずれJIS規格になり、JIS規格になったものがゆくゆくは法規(家庭用品品質表示法)になっていくという流れになっています。
つまり「+4」の項目は、現時点ではJIS規格ではありませんが、浄水器協会によって試験方法は定められているのですねが定められています。ウォータースタンドのサーバーはすべて、浄水器協会(JWPAS)で定められた方法で試験を行っています。
現在、PFOA及びPFOAは自主規格の「+4」の方に入っているんですね。これについてちゃんと試験方法が決まっているなら、その方法どおりに試験を行っているウォーターサーバーを選びたいですね。
本日はいろいろと解説していただきありがとうございました。
\ウォータースタンドのサーバー情報はこちら/
ウォータースタンドは水道水を浄水して使うウォーターサーバー・ピュアライフを提供しています。気になる方はこちらをご覧ください。
またウォータースタンドは、水道から直接水を浄水して使う、水道直結型のアイコンも取り扱っています。こちらが気になる方は、以下の記事をご覧ください。
浄水型ウォーターサーバーの比較記事はこちら
今回のまとめ
今回の取材では、最近世間を騒がせているPFASについて、浄水サーバーのトップブランドであるウォータースタンドさんに解説していただきました。
教えていただいた内容のポイントをまとめましょう。
- 現在、日本の水道水は特定PFAS(PFOS及びPFOA)の規制に関する目標値が決められているが、現時点では強制力はない
- 特定PFASは浄水器、浄水サーバーで除去できる
- 特定PFASの除去に関しては浄水器協会(JWPAS)で試験方法が定められている
ウォーターサーバーメディアとしては「JWPASで試験方法が定められていること」に注目したいところです。もしも今、あなたが特定PFASを除去できるサーバーを探しているのなら、「試験方法(JWPAS規格)が明記されているサーバーを選んだ方がより安心」といえるでしょう。
特定PFASに関する問題は社会的にも注目度が高いので、ミズコムでは今後もこの問題についての情報発信を続けていく予定です。