子どもが裸足で走り回れる安全な海を目指す「海岸清掃団体 湘南ウキブイ」のビーチクリーン活動
マリンスポーツや海水浴客で賑わう、神奈川県の茅ヶ崎ヘッドランドビーチ。人気観光スポットとして人気を集める場所ですが、近年はペットボトルや空き缶といった海洋ごみ問題が深刻化しています。
今回は、茅ヶ崎ヘッドランド海岸周辺の清掃活動を行うボランティア団体「海岸清掃団体 湘南ウキブイ」の代表 熊沢博樹さんにビーチの現状や活動内容についてお話を伺いました。
ビーチクリーン活動をはじめたきっかけ
ーーまず、茅ヶ崎ヘッドランド海岸でのビーチクリーン活動をはじめた経緯から教えてください。
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もともと私は、神奈川県湘南エリアを中心に音楽活動を行っていたのですが、あるとき知人から「その集客力を活かして世の中のためになることをしよう」と誘われたんです。それをきっかけに清掃活動をスタートしました。
当初は、湘南ウキウキブイブイズという名前で活動していましたが、2005年7月「海岸清掃団体 湘南ウキブイ」に改名。現在は、毎月第2日曜日に茅ヶ崎ヘッドランド海岸周辺での清掃活動を実施しています。
集めたごみの量を参加者同士で競い合う「3分間チャレンジ」
ーー清掃活動にはどういった方々が参加しているんですか?
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子どもから大人まで幅広い年齢層の方々にご参加いただいています。特に10〜20代が多く、話を聞くとInstagramやTwitterなどSNSで活動を知って参加してくださっているようです。
できるだけ若い世代の方々に参加してもらい、海洋ごみ問題の現状を知るきっかけになればと思っています。そのため、当団体では「拾って伝えて変える未来」をコンセプトに楽しみながら海の美化に貢献できるコンテンツを用意。
内容は、砂浜に埋もれたごみを拾う「ぷかぷか大作戦」や回収したごみの種類を調べる「どんなんがあるのよ大作戦」などさまざまです。
なかでも人気なのが、ミニゲーム「3分間チャレンジ」です。3分間で集めたマイクロプラスチックの重さを、参加者同士で競い合うゲーム。上位入賞者には、コスメや地元の特産品など賞品を贈呈しています。
清掃活動と聞くと、黙々とごみを拾うイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。でも、どうせなら楽しい思い出として持ち帰ってほしい。イベント要素を盛り込むことで、清掃活動やプラスチックごみ問題に興味関心を持ってもらえたら嬉しいですね。
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ーー茅ヶ崎の海岸にはどういったごみが多いのでしょうか。
一番多いのは、ペットボトルやビニール袋などのプラスチックごみ。7〜8月の海水浴シーズン直後は、ビーチサンダルやビニールシート、使い終わった花火が捨てられていることが多いですね。
あとは、古い釘やピンセット、針が付いたままの注射器といった危険な漂着ごみが砂浜の中から出てくることもあります。
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ーービーチクリーン活動をはじめる前と後で、どういった変化がありましたか?
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少しずつではありますが、活動をはじめた頃に比べてごみの量は減少しています。テレビや冷蔵庫などの家電製品、自転車・原付バイクといった大型ごみの不法投棄もほとんどなくなりました。
子どもが裸足で走り回れる安全できれいな海を残したい
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2021年7月で活動16年目を迎え、これまで延べ4,000名を超える方々がビーチクリーン活動にご参加くださいました。私たちの活動を通じて、ひとりでも多くの人が漂着ごみ問題を考えるきっかけになれば嬉しいですね。
世界では毎年約800万トンものプラスチックごみが海に流出しており、そのほとんどは市街地で発生したものです。このままでは、海はごみだらけになってしまいます。
未来の子どもたちに裸足で走り回れる安全な海を残してあげられるよう、これからもこの活動を続けていきたいと思います。
海岸清掃団体 湘南ウキブイ