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感動を伝える岐阜県各務原「天然氷のかき氷つどい」ふわふわ食感の秘けつ

2021.06.29

岐阜県各務原(かかみがはら)市にある「天然氷のかき氷つどい」は、地元はもちろん隣県からも自家製の特製シロップがかかったふわふわのかき氷を求めて多くの人が訪れる人気店です。

名水の里と呼ばれる南アルプス・八ヶ岳の南麓で、昔ながらのこだわりの日本の伝統技術で作られた「天然氷」を氷の蔵元「八義(やつよし)」から取り寄せてかき氷を作る理由や、そのおいしさの秘訣をオーナーの廣瀬志保美さんにうかがいました。

トップの画像は、つどいのかき氷。(写真提供:天然氷のかき氷つどい)

水と暮らす編集部

どうしてかき氷のお店をオープンさせたのか教えてください。

廣瀬さん

実は、もともとかき氷に興味があったわけでも、かき氷屋さんをやりたいという夢があったわけでもないのです。

2016年の夏に夫がテレビでかき氷特集を見て、天然氷で作るかき氷の存在を知りました。

天然氷の存在は知っていたけど、天然氷のかき氷を食べたことはなかったのです。岐阜県の近くなら名古屋、そして大阪や東京といった大都市にはあるのでしょうが、この近所には天然氷を使ったかき氷専門店はありませんでした。かき氷というと、学生時代にお祭りの屋台で食べたことがあるのがせいぜいです。

調べたら、山梨県北杜市にある氷の蔵元「八義」で食べられることを知り、夫が足を運びました。そこで、提供された天然氷のかき氷の味に、ものすごく感動したといって帰ってきたのです。

こんなにスイーツに近いおいしいかき氷があるのかと衝撃を受けたようです。そして、近くに住む人たちも、こんな味は食べたことがないのではと思い、岐阜県の各務原市の地域の方々にも、「この感動体験を伝えたい、天然氷で作ったかき氷を食べてもらいたい」と、自分たちで作って提供することを考えついたのです。

かき氷の機械を買い、蔵元「八義」にお願いして氷を卸してもらうことになり、修業させていただきました。また、農家と交渉して旬の果物から自家製シロップを作り、理想のかき氷作りを黙々と進めました。

水と暮らす編集部

すごい行動力ですね!

廣瀬さん

当時、まだ娘が1歳ということもあり、「子育てが大変になる時期に何を考えているの?」と、当初、私は大反対でした。しかし出店場所も決まり、いよいよ来週からオープンというタイミングで試作品を食べたら、夫が最初に食べたときと同じリアクションをしてしまいました。

「これはすごい!」と感動して、地域の人々にこの感動を伝えたい、と夫婦で一緒にお店をがんばっていこうということになりました。

南アルプス・八ヶ岳の南麓で作られた蔵元八義の天然氷の魅力

水と暮らす編集部

八ヶ岳湧の天然氷にこだわられていますが、他の氷で試すことはなかったのですか?

廣瀬さん

蔵元八義の天然氷に惚れ込んで交渉したので、他の氷を試したことはなかったですね。今でこそ他の氷で作ったものと食べ比べてみることはありますけれど、やはりここの氷は格別です。

湧水が豊富で、名水百選「八ヶ岳南麓高原湧水群」に選ばれ、名水の里と呼ばれる八ヶ岳の南麓で作る氷は、雑味がないのです。

水質の良い澄んだ天然水を使って、冬の寒さを利用して2週間から20日ほどかけて、表面からゆっくり凍らせているそうです。不純物が氷に吸収されないように24時間体制で何度もゴミ(草木や雪)を取って、手間をかけて作っています。

単結晶になるそうで、同じ天然水をただ製氷しても、同じ味にはなりません。また、製氷工場で作る純氷を使っているお店もありますが、やはり違う味になってしまいます。

天然氷にこだわると、どうしても価格が高くなってしまうのですが、これだけは譲れませんね。

いろいろなかき氷を各地で食べ歩く「ゴーラー」さんと呼ばれる方たちがいますが、当店にも足を運んでいただいた際には、やはりふわふわ感が違うと評価していただけました。静岡からわざわざ来てくださった方もいて、喜んでもらえたのはうれしかったですね。

水と暮らす編集部

究極に薄く削り、感動するふわふわの食感を作り上げているそうですが、どうやって削っているのですか?

とても薄い氷が削り出されていく
とても薄い氷が削り出されていく。(写真提供:天然氷のかき氷つどい)
廣瀬さん

それは企業秘密ということで(笑)。もちろん、同じ氷を他の店で作って、同じ味になるわけではないとは思います。私たちが感動した味を守り続けたいという一心なのですよね。

手で整形しないのも、天然氷本来の圧倒的なふわふわ感を大事にしているからです。

水と暮らす編集部

シロップにもこだわられているのですよね。

廣瀬さん

氷のふわふわ感を大事にしたいので、シンプルなシロップでないと重さに耐えられないのです。自家製シロップはその日の朝に手作りしています。果肉をぜいたくに使っているので、フルーツそのものを食べているような濃厚な味が楽しめます。

かき氷の上に多量のフルーツや生クリームをトッピングしたりするような、色も鮮やかで、見た目が豪華な見栄えの良いかき氷がはやりだとは思います。エスプーマやドルチェ系などインスタ映えするかき氷もいろいろ出てきていますが、うちはそこにはのっかりません。

あくまでも天然氷の質の良さにこだわります。見栄えも大事ですが、感動するおいしさにこだわれば、お客様がまたリピーターになってくれると思います。

水と暮らす編集部

季節に合わせてシロップを変えられていますが、おすすめを教えてください。

廣瀬さん

私が初めて食べたときの感動をそのまま伝えられるメニューは「ピュア・メロン」です。果実の味が濃厚で、メロンそのものを食べているようなシロップとふわふわの氷に練乳がマッチし、口の中ですべての味が合った後に、一瞬で溶けていく食感がたまりません。

ピュア・メロン
「ピュア・メロン」3層1,300円、2層1,200円(税込)。(写真提供:天然氷のかき氷つどい)

笑顔が集うお店であり続けることが目標

水と暮らす編集部

氷以外に、水へのこだわりもあればぜひ教えてください。

廣瀬さん

お店で出す水やコーヒーは日本トリムの整水器を使った、トリムイオンの浄水を使っています。自宅でも、娘が赤ちゃんの頃から使っているのですが、お店でもおいしいと好評です。

店内の様子
岐阜県で蔵元八義の天然氷で作ったかき氷を出すお店は他にはないそう。(写真提供:天然氷のかき氷つどい)
水と暮らす編集部

今後の目標はありますか?

廣瀬さん

店舗数をたくさん増やすような予定はないのですが、少しでも多くの人に食べに来てほしいですね。特に30〜50代くらいのふだん育児や仕事をがんばっている女性が、自分に対してのご褒美として楽しみに来てくれる方が多いのですが、引き続き多くの方に笑顔になってもらえるお店を目指しています。

水と暮らす編集部

それはすてきですね! 廣瀬さん、ありがとうございました!

オンラインショップ等の告知など
つどい公式サイト

岐阜県各務原市鵜沼東町2-165-2
090-2925-3434
平日 11:00~16:00
土日祝日 11:00~17:00
※パンケーキL.O.閉店1時間前
※かき氷、ドリンクL.O.閉店30分前