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食べ物由来の消臭剤「においを食べる水」とは? 鹿児島・新和建設工業

2021.06.23

今回は水を使った食べ物由来の消臭剤「においを食べる水」を開発した新和建設工業の代表取締役・篠原基郷(しのはらもとくに)さんにお話をうかがいました。

「においを食べる水」とは、水と食べ物由来の原料のみを使った環境にも人にも優しい消臭剤。無臭で水のような見た目ながら、消臭効果は第三者機関によって証明済みです。
なぜこのような消臭剤を建設会社が開発したのでしょうか? 約7年もの歳月をかけて研究された開発ストーリーとともに、商品の不思議な消臭効果に迫ります。

トップの写真は、室内用・生ゴミ用・洗濯用消臭剤「においを食べる水」(各種税込2,200円)。(写真提供:新和建設工業)

においを食べる水
室内用消臭・予防剤「においを食べる水」(3,190円税込)。(写真提供:新和建設工業)
水と暮らす編集部

パッケージもとてもかわいらしいにおいを食べる水』とは、どんな商品なのでしょうか?

篠原さん

『においを食べる水』は消臭剤で、生活の中でにおいの気になるところに吹きかけると、においを消すことができるんです。商品自体、無香料・無臭なので、消臭後の空気はさわやかですよ。

ラインナップは大まかに4つあって、排水口周りやシンクの生ゴミ用、ソファやカーテン、タバコのにおい向けの室内用、作業着やスポーツウェアなどの洗濯用ペット用があります。

においが消える仕組み
においが消える仕組み。(写真提供:新和建設工業)
篠原さん

一般的な消臭の方法では、合成香料で悪臭を感じなくさせたり、炭のように悪臭成分を吸い込ませて消臭したりといろいろありますが、この商品は化学合成成分をいっさい使っていないんですよ。悪臭成分を分解・中和する環境浄化微生物という微生物の力を利用して、においをもとから除去して消臭します。商品名は“環境浄化微生物が空気中の悪臭のもとを食べてくれる”というイメージから付けています。

水と暮らす編集部

なるほど。「環境浄化微生物」とはどのような微生物なのでしょうか?

篠原さん

いろいろな環境浄化微生物がいますが、『においを食べる水』に使っているのはイースト菌、乳酸菌、納豆菌、味噌麹菌です。イースト菌はパン、乳酸菌はヨーグルト、納豆菌は納豆、味噌麹菌は味噌と、わりとみなさんにもおなじみのものですよね。つまり、商品に使用している原料はすべて食べ物由来のものなんですよ。

商品は第三者機関による水質検査も実施していて、健康への影響がないことを客観的に証明しています。ですから、肌にふれたり口に入ったりしても害はありませんよ。ただし、商品を使ってアレルギーがあったという報告は今までありませんが、牛乳や大豆にアレルギーのある方は、成分中の乳酸菌や納豆菌が影響しないとは言い切れないのでご注意ください!

「においを食べる水」水質分析結果
「においを食べる水」水質分析結果。(写真提供:新和建設工業)
「においを食べる水」水質分析結果
「においを食べる水」水質分析結果。(写真提供:新和建設工業)
水と暮らす編集部

食べ物由来の原料なんですね! エコで人にも優しくて、まさに「水」という名称にふさわしいですね。消臭の効果はどれほどなのでしょうか?

篠原さん

生ゴミに吹きかけたらすぐににおいが気にならなくなるほどですね。
実際に生ゴミに吹きかける前と後のにおいを臭気計測器で計ったところ、スプレー前は喫煙室と同じくらいのレベルの86という数値でした。ところがスプレー後にはほとんどにおいが気にならないレベルの9まで下がったんですよ。第三者機関でも試験を行い、データも取っています

水と暮らす編集部

強力な消臭パワーも証明されているんですね!

「においを食べる水」消臭性試験の結果
「においを食べる水」消臭性試験の結果。(写真提供:新和建設工業)
「においを食べる水」消臭性試験の結果
「においを食べる水」消臭性試験の結果。(写真提供:新和建設工業)

工事中苦戦した悪臭への対策から生まれた2つの商品

地盤改良事業の様子
地盤改良事業の様子。(写真提供:新和建設工業)
水と暮らす編集部

そもそもなぜ、建設とは畑違いの消臭剤を開発されたのでしょうか?

篠原さん

きっかけは鹿児島県発注のため池工事です。長年蓄積したヘドロの強烈なにおいをどうにかできないかと県の発注者からのひと言で、どうにか環境を汚さない方法で、ヘドロのにおいをなんとかしようと模索していました。

水と暮らす編集部

環境への配慮にもすごくこだわっていますが、なぜですか。

篠原さん

地盤改良工事も行っているんですが、“環境にやさしい土のリサイクル”を目標にして、工事によって出た土を適切に処理して、地盤材料へと再利用するといったこともしているので、環境に負荷をかけないよう配慮することが重要でした。そのこだわりを追求する中で“環境浄化微生物”というものが、環境を汚さずににおいを抑えることがわかりました。

水と暮らす編集部

消臭をするのに、微生物を使うという発想にどのようにしてたどり着いたのでしょうか?

篠原さん

前社長で現在の会長が、においを抑えるためにいろいろ研究をしていたのですが、山で野生動物の死骸を見つけた時にいやなにおいがしなかった経験から、自然のサイクルの中で微生物がにおいを分解しているんじゃないかとヒントを得たんですね。

会長の祖父は酒蔵をしていて、発酵によってできる酒造りの風景を会長は見て育ってきたので、子ども時代の環境も微生物にピンときた理由かと思います。

そして消臭方法を探るうちに、環境に優しい環境浄化微生物を使った消臭剤を見つけまして、実際にため池工事のヘドロに使ってみたところ、においを抑えることができたんです。ただ消臭剤自体にツンとした強い発酵臭がありました。

そこで、せっかくエコで効果のある消臭剤なので家庭用に転用できたらと思い、無臭の消臭剤を作り出すために、さらに研究を進めることになりました。この研究では外部の研究機関を頼ることなく、自社にある土質試験用の研究室を利用して、会長自らが実験を繰り返しました。そして約7年の研究の末、ある日偶発的に、発酵臭のない消臭剤を作り出すことができたんです。

水と暮らす編集部

7年も! 大変な年月がかかったんですね。

篠原さん

すごく大変でしたが、その結果、最初に見つけた環境浄化微生物を使用した他社の消臭剤とはまったく別物の自社オリジナルの無臭の消臭剤ができあがりました

これなら家庭用として売り出せるということで、平成22年に『においを食べる水』の販売を始めたんです。

水と暮らす編集部

『においを食べる水』ができるまでに、そんな苦労があったんですね。

植物いきいき水
植物いきいき水。(写真提供:新和建設工業)
篠原さん

実は、この『においを食べる水』の開発を始めて3年ほどで、環境浄化微生物が植物の生長を促進することもわかってきて、その後発売した商品の『植物いきいき水』が生まれるきっかけにもなりました。

水と暮らす編集部

『植物いきいき水』とは何でしょうか?

篠原さん

『植物いきいき水』は植物活性剤で、希釈したものをスプレーで植物に散布したり、じょうろで根本に注いだりすると、根の張りが強く丈夫になり健康に育って実りも大きくなるんです。生花にも使えますよ。

性質は『においを食べる水』とほとんど同じで、化学合成成分をまったく使わずに、納豆菌や乳酸菌など食べ物由来の原料のみで作っています

『においを食べる水』と『植物いきいき水』はおもにウェブサイトで販売をしています。右肩上がりでずっと売れています。使っていただいたらきっと商品の良さをわかってもらえるはずです! 口コミでどんどん広がっていけば良いなと思っています。

まとめ

建設会社が、ため池工事での悪臭対策から模索し生み出した、消臭剤『においを食べる水』。環境浄化微生物を利用して、食べ物由来の原料のみで作られた商品は、それぞれの効果は抜群ながらも、エコで人体にも優しい『水』でした。

新和建設工業公式サイト