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大町市観光協会、北アルプスの清らかな湧水があふれ出す「水の街」をPR

2021.05.31

古くから、豊かな水とともに生きてきた長野県・大町市(信濃大町)。青木湖・木崎湖・中綱湖の「仁科三湖(にしなさんこ)」と呼ばれる3つの湖と、標高3,000m級の山々が連なる北アルプスの恵みを受けてきた土地です。


大町市には、北アルプスの山々でろ過された水が湧き出ています。その水の質はとても高く、飲み水だけではなく、農産物の育成や仁科三湖を中心としたアクティビティなどに利用されています。

水とともに生きてきた大町市の「水にまつわる取り組み」について、大町市観光協会におうかがいしました。

トップの画像は大町市の風景(写真提供:大町市観光協会)

水と暮らす編集部

はじめに、「大町市の水」の特徴について教えてください。

大町市観光協会

大町市の各家庭で使われている水のほとんどは、北アルプスの山々で自然にろ過された「湧水」なんです。水源は全部で8ヵ所ありますが、ほとんどの家庭で使われている上水は、豊富な水量を誇る3ヵ所の水源(居谷里水源、矢沢水源、上白沢水源)から採れる水でまかなわれています。その水はとてもきれいで、そもそも大町市には浄水場がありません。採取した水は、水道法に基づく最低限の塩素滅菌が行われて、各家庭に届けられています。

水と暮らす編集部

大町市の水を口にした人からは、どんな感想がありますか?

大町市観光協会

大町市の飲食店では、水道からくんだ水を「お冷」として提供しているんです。東京などから来た観光客の方だと、最初は「水道水を浄水せずに飲んでいるのか」と驚かれますが、その水を口にすると「とてもおいしくて感動した」とおっしゃいますね。そのような感想をいただけるのは、大町市の水道水がカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分がバランスよく含まれている「おいしい天然水」だからです。

水と暮らす編集部

大町市には、他県から来た人が感動するほど、おいしい水があるんですね。その水は、水道水以外でどんなことに活用されているのでしょうか?

大町市観光協会

田んぼ・畑の農業用水やワイン・日本酒などの加工品造り、ミネラルウォーターやピュアウォーターとして水そのものが商品となり、産業にも活用されています。大町市には、清冽(せいれつ)な水が豊富にある、仁科三湖を中心とした湖や川があるんです。そこで、ラフティングやSUPなどのアクティブスポーツを楽しむときにも使われていますね。また、大町市の水の特徴は、透明度が高いこと。仁科三湖の中でも県下有数の透明度を誇る青木湖では、「湖の透明度を測ってみよう」といった小中学生の体験学習にも活用されているんです。

このように、あらゆる場面で活用される「信濃大町の良質な水」を世界的にPRしようと、大町市では水ブランドを確立させる動きが始まりました。それに伴い、観光面でも“水を楽しめるコンテンツ”として「水めぐりができる観光」に力を入れています。

水と暮らす編集部

具体的には、どのような取り組みをしているんですか?

大町市観光協会

14年前からは、街中でおいしい水の飲み比べができる企画がスタートしました。また、2年前からは、水めぐりのモデルコースとして「街中散策 水の物語」をご紹介しています。

このコースでは「豊富で清らかな、おいしい水」をテーマに、水にまつわる芸術作品や水の加工品が置いてあるスポット、水源の違う水を飲み比べできるスポットなどを巡る街歩きをしながら、大町市を観光できるようになっているんです。

水の恵みを感じるスポットを訪ねるモデルコース「水の物語」

水と暮らす編集部

「水の物語」で巡る各スポットについて、詳しく教えてください。

大町市観光協会

まず、信濃大町駅から本通りを徒歩10分ほど歩いたところにある「大町名店街」を訪ねます。この商店街は、お食事処やパン屋などの個性的な名店が集まる、昭和レトロなアーケード街です。

大町名店街にある浅井裕介アート作品
大町名店街の路上には、「水と植物」をテーマにした淺井裕介さんのアート作品が描かれている。(写真提供:大町市観光協会)
大町市観光協会

ここでの見どころは、路上に描かれた淺井裕介(あさい ゆうすけ ※1)さんのアート作品です。これは大町市で3年に1度開催される、長野県最大の国際芸術祭「北アルプス国際芸術祭」で、過去に公開されたアート作品のひとつ。淺井さんが「水と植物」をテーマに描いてくださいました。この作品を見ようと、今でも観光客の方が定期的に訪れています。

※1:抽象画や陶芸、さまざまな素材を使ったドローイングや巨大壁画、マスキングプラントなど、多方面へ精力的な活動をしている作家

塩の道街道ちょうじや
塩の道街道の歴史と、人々の暮らしを紹介する「塩の道ちょうじや」。(写真提供:大町市観光協会)
大町市観光協会

その後は、歴史展示の博物館「塩の道ちょうじや」を巡ります。ここでは、新潟県の糸魚川から松本まで塩を運んだ「塩の道」と呼ばれる街道の歴史や、人々の暮らしを紹介しています。

大町市の水を使った日本酒
「いーずら大町特産館」では、大町市の水を使用した三蔵の日本酒などを購入できる。(写真提供:大町市観光協会)
水と暮らす編集部

コースでは、次に「いーずら大町特産館」を訪ねることになっていますね。ここはどのような場所なのでしょうか?

大町市観光協会

大町市内で一番大きな土産物屋で、店名にある「いーずら」とは「よいでしょう」という大町地方のふるさとの言葉なんです。

大町市の清らかな水を使った「三蔵(北安醸造、薄井商店、市野屋)」の日本酒だけではなく、ワインや味噌などの加工品、銘菓などを販売しています。また、「凍(こおり)もち」や「凍(し)み大根」など、信濃大町の郷土食も購入可能です。欧風せんべいにクリームをサンドした銘菓『雷鳥の里』も売れ筋商品ですね。

市内には、大町市の水を飲み比べできるスポットがいくつか用意されています。いーずら大町特産館の店前では、「女清水(おんなみず)」を飲むことができるんです。

水と暮らす編集部

「女清水」とは何でしょうか?

大町市観光協会

大町市にある湧水のことです。水源は商店街の本通りを隔てて、東西で異なります。東側は標高900mの里山・居谷里湿原(いやりしつげん)から引く「女清水」、西側は北アルプスから引く「男清水(おとこみず)」と呼ばれているんです。

その昔、東側の水を飲んだお家では女の子ばかりが、西側の水を飲んだお家では男の子ばかりが生まれました。そのため、このような呼び名になったといわれています。困った人々は街の中央に川を作り、両方の水を1つに合わせて飲むようになりました。それからは、街もさらに繁栄したと伝えられています。

女清水と男清水の水飲み比べ
市内の各所では、水源の違う2つの水を飲み比べることができる。(写真提供:大町市観光協会)
大町市観光協会

「水の物語」モデルコースでは、本通りの東と西で「女清水」と「男清水」を飲み比べることができるスポットがあるんです。水の飲み比べ専用の「マイボトル」も販売しておりますので、ぜひ、ここで味の違いを楽しんでいただければと思います。

水と暮らす編集部

モデルコースの最後は「北アルプスブルワリー」となっていますね。

大町市観光協会

はい、ここは北アルプスのおいしい水を生かしたビール造りにこだわる「地ビール工場」です。ビールバーとして、さまざまな味わいのビールやおつまみを楽しめるだけではなく、イートインもできるスペースになっています。

北アルプスブルワリーの地ビール
「北アルプスブルワリー」では、大町市のおいしい水で醸造された地ビールを楽しめる。(写真提供:大町市観光協会)
大町市観光協会

大町市では、いろいろな種類のビールを造っているんです。その中で、ビールとコーヒーをコラボレーションさせた『Coffee PUNCH』は、「インターナショナル・ビアカップ2020(※2)」で金賞を受賞しました。おしゃれで落ち着いた雰囲気の店内では、『Coffee PUNCH』をはじめとしたビールを飲み比べできます。

※2:「日本地ビール協会」が主催しているビールのコンペティション

マイボトルで環境にやさしく、大町市のおいしい水を飲み比べしてほしい

水と暮らす編集部

先ほど、「水の飲み比べ専用のマイボトルを販売している」とおうかがいしました。それは通年、販売されている物なのでしょうか?

大町市観光協会

はい。これまでは、街中を散策しながら水を飲み比べしてもらおうと、ペットボトルを配布していました。しかし、ペットボトルではゴミになってしまい、環境によくありません。そこで、2021年4月28日から、使い回せる『水巡りクリアボトル』(1,200円税込)の販売を開始したんです。

大町市内6ヵ所で販売していますので、これをご購入いただき、街中で水をくんで飲み比べしてもらえればと考えています。また、気に入った水があれば、ボトルの中にその水を入れて持ち帰れる仕組みです。

モンベルと開発したクリアボトル
『水巡りクリアボトル』の作製には、株式会社モンベルが携わっている。(写真提供:大町市観光協会)
水と暮らす編集部

ボトルには「mont-bell」の文字が入っていますね。

大町市観光協会

このボトルは、アウトドア総合メーカー・株式会社モンベルさんご協力のもと作製しました。大町市は日本有数の山岳地帯で、登山口としても有名です。毎年、登山を目的とした観光客の方が大勢訪れます。モンベルさんと協力したことで、アウトドア好きな方にも良いPRになるのではないかと考えました。

また、カップルで観光に訪れる方にも、このマイボトルで飲み比べを楽しんでいただきたいですね。「ホワイト」と「ブルー」の2色展開にしたボトルカラーは、「女清水」と「男清水」を表現しているんです。その2つの水を合わせて飲むと、縁結びや夫婦円満の効果があるといわれています。色違いで購入していただき、おふたりで街歩きをしながら、おいしい水を飲んでいただければと考えました。

水と暮らす編集部

デートやカップル旅行での水めぐりも楽しそうです。最後に、モデルコースなどへの参加を通じて、みなさんにどんなことを感じてほしいですか?

大町市観光協会

信濃大町の水のおいしさや、大町市の風土を体験していただきたいと思っています。水めぐりをしていくと、水路の上に建っている民家や水を活用した商品、田んぼや畑がたくさんあることだけではなく、水とともに暮らしてきた信濃大町の人々の歴史を感じていただけるはずです。

また、先人たちが豊かな自然を守り続けてくれたおかげで、今の大町市があります。それを今後も私たちが守っていかなければなりません。そのために、大町市では「SDGs(エスディージーズ)」にも取り組もうとしているんです。大町市を訪れた方にとって、マイボトルを持って水めぐりすることなどが、「自然環境を守ること」について思いをはせていただくひとつの機会になることを期待しています。

この記事のまとめ

  • 大町市では、北アルプスの山々で自然にろ過された「湧水」を水道水などに使用。
  • モデルコース「水の物語」では、水めぐりをしながら、北アルプスの豊かな自然と清冽な水に恵まれた信濃大町を存分に感じることができる。
  • 『水巡りクリアボトル』で環境に配慮しながら、大町市のおいしい水を飲み比べできる。

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