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世界でもめずらしい「北斗の水くみ」について岡垣町観光協会に聞く

2021.06.18

福岡県遠賀郡に位置する岡垣町は、北斗七星が海水をくむ姿、その名も「北斗の水くみ」を見ることができる世界でも数少ない場所です。
きれいな海や蛍が見える川にも恵まれており、まさに水と暮らしている街といえるでしょう。

今回は岡垣町の海と川、そして星が織りなす街の魅力について、岡垣町観光協会の尾前実香(おまえ みか)さんにお話をうかがいました。

トップの画像は、北斗の水くみ。北斗七星が海をすくっているように見える。(写真提供:岡垣町観光協会)

北斗の水くみ
北斗の水くみ。(写真提供:岡垣町観光協会)
水と暮らす編集部

「北斗の水くみ」は、いつごろからそう呼ばれるようになったのでしょうか?

尾前さん

「北斗の水くみ」は福岡教育大学・名誉教授の平井正則先生が、小学校4年生の理科の教材を作るときにたまたま見つけたそうです。かなり前から発見されてはいましたが、観光協会が教えていただいたのは5、6年前だと思います。

水と暮らす編集部

「北斗の水くみ」を見られる条件を教えてください。

尾前さん

北緯33度に位置していることが第一条件です。ただでさえ日本でも限られた場所ですが、さらに北側に障害物が何もない水平線、海があることが条件で、それを満たすのは岡垣町と世界でもほんの一部しかありません。

水と暮らす編集部

なるほど。「北斗の水くみ」が見える期間はいつ頃ですか?

尾前さん

北斗七星として一日に一周しているので、一年中水をくんでいますが、一番見やすいのは10月上旬の21時半ごろです。お子さまにもおすすめですね。

観望会の様子
観望会の様子。(写真提供:岡垣町観光協会)
水と暮らす編集部

星空観望会の反響はいかがでしょうか?

尾前さん

年々定着してきて、特にファミリー層が多いです。ふだんは大きなイベントもしているので、1年間で約500人集まりますが、昨年はコロナ禍で施設を利用できる人数が制限されてしまいました。2日間で30人ずつを募集したところ、あっという間に埋まってしまいました。とても人気でしたね。

水と暮らす編集部

なるほど。どんなイベントでしょうか?

尾前さん

観光協会が入っている「北斗七星」という建物は目の前に海があるんですよ。ここにみんなで集まって、北九州シリウス会という星のソムリエ免許をもった方たちを10人くらい呼んで、望遠鏡も何台も用意してみなさんで北斗の水くみや天体を見ようというイベントです。近隣の方以外にも、県外から来られたりします。

海や川、サイクリングなど観光スポットがたくさん

岡垣町の波津海岸
岡垣町の波津海岸。(写真提供:岡垣町観光協会)
水と暮らす編集部

岡垣町の海や川の魅力について教えてください。

尾前さん

岡垣町の波津海岸は波質がすごく良くて、県外からもサーファーの方がたくさん訪れるサーフィンのメッカです。冬は本格的なサーファーが集まって、極寒の中サーフィンを楽しまれています。夏は波が穏やかなので、初心者向けにサーフィンのレッスンをしたり、SUP(サップ)というサーフィンボードに立ってパドルをこぐアクティビティをしたり、いろいろな体験プログラムを用意しています。

今一番観光協会でおすすめしているのが、遠賀宗像自転車道という海辺のサイクリングロードです。隣の町までつながっていて、海の真横を走ることができます。全国からサイクリストの方が来られますし、年間3000台を超える数のレンタサイクルが借りられています。潮風や波の音とか海を楽しめるアクティビティとして、コロナ禍でも人気ですね。

サイクリングロード
サイクリングロード。(写真提供:岡垣町観光協会)
尾前さん

岡垣町は自然にあふれた街なので、川辺には蛍がいます。夏前からちらほら見えるようになって、「ほたるまつり」も行われています。とてもきれいなので、観光の際はぜひご覧ください。

川辺で蛍が見える様子
川辺で蛍が見える様子。(写真提供:岡垣町観光協会)
水と暮らす編集部

岡垣町に観光に行く際のベストシーズンはいつごろでしょうか。

尾前さん

ベストシーズンは春から夏にかけてですね。夏の海は本当にきれいですし、サイクリングでいえば5月と9月がすごく気候的にもいいのでおすすめです。
岡垣町は水が本当にきれいなところなので、フルーツが一年中採れるんですよ。なのでフルーツ狩りも盛んに行われています。9月頃には漢方巨峰という消毒や肥料に漢方薬を使った巨峰が採れるんですが、すごく実が大きくて一粒一粒が甘くて、果汁もたっぷりでおすすめです。

水と暮らす編集部

いいですね。どれくらいの日数で宿泊する方が多いんですか。

尾前さん

日帰りで来られる方が多いですが、宿泊ですと1泊2日が今のところは多いですね。最近は体験プログラムをすごく増やしていて、今年は初の試みでリョカンピングというものを行うことになりました。

リョカンピングはグランピングの旅館バージョンで、旅館に泊まりながら外のテントでも遊べるようなプログラムです。7月から10月頃まで行うので、興味がある方はぜひ観光協会の公式サイトをご覧ください。

水の恵みを受けた特産物も豊富

水と暮らす編集部

果物以外にも何か水が特徴的な特産物はありますか?

尾前さん

『焼酎岡垣』という焼酎があります。岡垣町の地下水と岡垣町で採れた芋が使われていて、香りが華やかでとてもおいしいです。岡垣の特産物として有名です。

焼酎岡垣
焼酎岡垣。(写真提供:岡垣町観光協会)
尾前さん

岡垣は本当に水がきれいですね。水道水も、今は川の水も入れられているそうですが、以前は100%地下水だったそうです。
孔大寺山(こだいしやま)という山に降り注いだ雨水がろ過されて、100年かけて地上に出てきているので水もすごくおいしいです。基本的にそのまま飲めるので、浄水器などは不要です。

水と暮らす編集部

なるほど。他にも何かありますか?

尾前さん

今の時期はウニが採れます。瓶詰めのウニがあって、入荷後はすぐに売り切れます。先日も100本入荷して1週間で売り切れたそうです。あと、高倉びわというびわは福岡県で生産量第一位なんですよ。それがちょうど今の季節、6月頃までです。

ウニやびわはふるさと納税に出したり、地方へ向けて販売することもありますが、人気すぎて入手困難ですね。ぜひ岡垣町へ食べに来てください。

まとめ

「北斗の水くみ」という天体ショーやリョカンピングなど、今回初めて知ったことが多く、岡垣町にとても興味をもちました。
読者の方も興味があればぜひ現地へ足を運んでみてください。
岡垣町観光協会の尾前実香さん、貴重なお話をありがとうございました。