高級バー御用達、能勢酒造の天然水炭酸「NOSE MINERAL SODA」が話題

2021.07.15
(写真提供:能勢酒造株式会社)

「水と共に300年」。これは、大阪の北端、能勢町吉野町にある能勢酒造のコーポレートメッセージです。江戸時代の正徳2(1712)年に酒造りを始めて以来、仕込み水として使用されてきた名水「桜川」と共に魅力的な商品を世に送り出してきました。

現在の看板商品は「NOSE MINERAL SODA」。桜川の天然水と炭酸ガスのみで作られていて、北新地の高級バーがこぞって使っていると噂のソーダ水です。これでハイボールを作ると、同じウイスキーでも味が違うようで……興味津々!! ということで、代表の子安丈士(こやす たけし)さんにお話をうかがいました。

釈迦ヶ嶽(しゃかがたけ)を背負う能勢酒造
釈迦ヶ嶽(しゃかがたけ)を背負う能勢酒造。(写真提供:能勢酒造株式会社)
水と暮らす編集部

創業300年あまりとは長い歴史ですね。子安さんで何代目ですか?

子安さん

10代目です。

水と暮らす編集部

10代目! 重みがあります。創業当時から名水「桜川」を使用し続けてこられたとのことですが、能勢酒造さんにとって「桜川」とはいったいどのような存在ですか?

子安さん

「桜川」はまさに根源・根幹ですね。300年もの間、ずっと変わらずに「桜川」を使って商品を作ってきたのですから。

能勢酒造の根幹を支える、名水「桜川」
能勢酒造の根幹を支える、名水「桜川」。(写真提供:能勢酒造株式会社)
水と暮らす編集部

桜川の水の特徴を教えてください。

子安さん

硬度16度のクリアな軟水で飲みやすく、「まろやかな甘み」が特徴です。釈迦ヶ嶽(しゃかがたけ)の火山層(花こう岩)を通って湧き出ているため、ミネラル成分であるシリカを多く含んでいます

水と暮らす編集部

シリカといえば、今美容や健康を意識する人に注目されている成分でもありますよね。そういえば、桜川には弘法大師にまつわるお話があるとか?

子安さん

そうなんですよ。釈迦ヶ嶽の山頂にはかつて弘法大師によって創建された「龍泉寺」という七堂伽藍(しちどうがらん)の立派なお寺があったそうなんです。今は山麓に移遷されているんですけどね。全国には、弘法大師が発見した「弘法水」が多数あるので、「釈迦ヶ嶽を源にする桜川も弘法水だったのかもしれないわ」って、私の母はよく言っていました。

古き良き日本の風景が残る吉野地区
古き良き日本の風景が残る吉野地区。(写真提供:能勢酒造株式会社)
水と暮らす編集部

ご利益がありそうなエピソードですね。歴史深い吉野地区ですが、地理的にはどのような場所なんでしょうか?

子安さん

大阪の都心部から高速を使えば1時間ほどで行けるエリアなんですが、棚田などもあり、昔から変わらない里山風景が広がっています。低山に囲まれた地形で、うちの工場のちょうど裏山が釈迦ヶ嶽になるんですよ。

天然水に炭酸ガスのみ。水のうまさが生きる炭酸水

水と暮らす編集部

本当に桜川と密接しているんですね。もともとは日本酒造りからスタートした能勢酒造さんですが、今はどのような商品が多いのでしょうか?

子安さん

炭酸飲料が8〜9割、残りがお茶とミネラルウォーターを生産しています。看板商品は、桜川の天然水と炭酸ガスのみで作ったソーダ水「NOSE MINERAL SODA」です。

雲海に沈む吉野地区
雲海に沈む吉野地区。美しい自然のなかで能勢酒造の商品は生み出されている。(写真提供:能勢酒造株式会社)
水と暮らす編集部

最近はお酒を割ったり、料理などに使ったり、炭酸水を常備する人も多くなりましたよね。ちなみに炭酸水を作る過程で、炭酸ガス以外を入れることはよくあるんですか?

子安さん

一般的な炭酸水には、塩化マグネシウムなどの添加剤がよく使われています。逆に泡を安定させるために、お水に含まれるカルシウムといったミネラル成分を全部抜いて純水にしてから炭酸ガスを入れたりすることもあります。うちでは、自然のミネラル分を含有する天然水をそのまま生かし、かつ添加物を使わずにいかに炭酸を安定させるかに苦心し、改良を重ねてきました。

水と暮らす編集部

そうなんですね。炭酸水が大量生産のために科学的に作られているとは知らなかったです。先日、テレビで芸能人がハイボール用に「NOSE MINERAL SODA」を愛用していると紹介していました。企業努力が凝縮した天然水の炭酸、ぜひハイボールで飲んでみたいです!

看板商品の「NOSE MINERAL SODA」。桜川の天然水と炭酸のみで作られたソーダ水
NOSE MINERAL SODA
子安さん

まさに、ハイボールにすると「NOSE MINERAL SODA」の良さがよく伝わるんです。もともと15年くらい前にバーテンさんがこの炭酸水のことを見出してくださり、今では北新地の高級バーでは、かなり多くのお店に納品しています。細かくてしっかりした泡が楽しめる上、開栓後1日たっても抜けない泡もちの良さ、天然水ならではの雑味のないすっきりとした味わいが好評なんですよ。

水と暮らす編集部

炭酸水が一般にも浸透してきた今だからこそ、いいものの良さを伝えていきたいですね。

子安さん

そうですね。

環境を守るため「リターナブル瓶」に込めた確固たる想い

水と暮らす編集部

ところで能勢酒造さんでは、環境保全活動としてギフチョウの保護やリターナブル瓶への切り替えなどにも取り組んでいらっしゃいますよね?

ギフチョウ
「春の女神」と呼ばれるギフチョウ。個体数の減少が著しく指定希少野生動植物に指定されている。(写真提供:能勢酒造株式会社)
子安さん

自然の恵みを享受して事業をしているので、地元の環境を守っていくのは仕事の一環だと思っています。特に、リターナブル瓶への切り替えに関しては積極的に取り組み、平成20(2008)年には約4977.6kgのペットボトルと約6.1tの梱包用ダンボールの削減に成功しました。

水と暮らす編集部

すばらしいですね!

子安さん

使用済みの空瓶を回収して洗浄して再利用するリターナブル瓶は、リサイクルでペットボトルを作るより、明らかに少ないエネルギーコストで実現できるんです。それなのに大手メーカーさんはどんどん撤退している。瓶が割れてケガをしたり、空瓶に予期せぬものが入っていたり、管理上でのリスクは確かにあるんですが、しっかり管理すれば大きな事故にはならないことばかりですから、長期的に見ると非常に残念なことだと思っています。

水と暮らす編集部

環境よりも管理しやすさを優先してしまう現実があるんですね。

洗浄して再利用されるリターナブル瓶
洗浄して再利用されるリターナブル瓶。(写真提供:能勢酒造株式会社)
子安さん

うちのような小さい会社は、単に売れる商品を作るというだけでは長続きできない。地域の経済や環境にいかに貢献し、地元の人たちに支持してもらえるかが非常に大事なんです。小さい会社ですが、大手に依存しないで自立しているからできることもあるんですけれどね。

地元企業としてコロナ禍に奮起した「大阪いちごサイダー」

水と暮らす編集部

地元に根付き独自の価値を創出し続けていらっしゃる能勢酒造さんは、地方創生のお手本のような企業でいらっしゃいますね。感銘を受けました。それでは、イチオシの商品を教えてください。

子安さん

先ほど申し上げた「NOSE MINERAL SODA」と、ちょっと辛口で大人向けの「能勢ジンジャーエール」が弊社の2本柱です。あと、プロジェクトとして注目いただきたいのが「大阪いちごサイダー」。こちらは、コロナ禍で苦境にあえぐ地元農家さんを応援するために2020年に誕生したコラボ商品で、地元のいちごを使って作ったサイダーです。着色料を使わず、いちごからこの薄いピンク色を引き出すために、今までのノウハウを結集してがんばりました。

爽やかな甘みで子どもから大人まで楽しめる「大阪いちごサイダー」
水と暮らす編集部

これ、無着色なんですね! とてもかわいい商品です。

子安さん

コラボのときはコラボ相手にもこだわりがあるので勉強することも多いんです。一緒に作ることに意義を感じます。能勢町を代表する企業として認識してもらえるようになるため、がんばっていきたいですね。

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