江戸時代中期から続く老舗の蔵元「真名鶴酒造」が提案する新しいカタチの日本酒
美味しい日本酒づくりに欠かせないのが、良い水とお米。日本酒の80%は水が占めているため、水の品質はお酒の味に大きく影響します。
そのため日本で一番「水がおいしい」と言われる大野には、有名な酒造が多く存在します。今回ご紹介する「真名鶴酒造」は、1750年代に創業した老舗の蔵元ながら、日本酒の新しいあり方を提案している人気の酒造です。真名鶴酒造の蔵元・杜氏 泉恵介さんに酒造りに対するこだわりや、おすすめのお酒をご紹介いただきました。
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江戸時代中期から続く「真名鶴酒造」
当蔵は、宝歴年間(江戸時代中期)より続く老舗の蔵元。酒造りは機械に頼らず、すべて手造りで作っています。 そして作っている日本酒はすべて吟醸規格。伝統的な手法を守りつつも、新しい味わいの酒造りを目指しています。
日本酒において最も重要である水は、蔵の地下水を使っています。ここ大野は九頭竜川の上流に位置し、周囲を1000m級の山々に囲まれていて、水と緑豊かな扇状盆地となっています。
そのため積雪が多く、雪解け水や雨が地下へと染み込み、良い湧き水となるんです。蔵によっては使用する水のミネラル分を強化したり加工したりしていますが、大野には良い水があるので、そのままの酒造りに活用しています。
大野には、お酒造りに適した環境が整っており、それは「神が酒造りのために創られた地」といわれるほどです。大野の水は名水百選にも選ばれていて、日本一美味しい水とも言われていますから、日本酒造りには恵まれた環境だと思いますね。
ーー真名鶴酒造は、日本酒の固定概念にとらわれない新しい日本酒を作っていますよね。ソーダ割専用の日本酒「SUMMER GODDESS」なども人気ですが、泉さんが今おすすめのものを教えてください。
ほのかな酸味と甘味が大人気『奏雨-sow-』
SUMMER GODDESSのルーツとなった『奏雨-sow-』もおすすめです。昔から日本酒は、辛口で酸味が少ないものが良い品質とされてきました。しかし奏雨は、ちょっと甘酸っぱいのが特徴です。飲まれたお客様からは非常に好評で、今一番の売れ筋となっています。「日本酒が苦手だったけど、これは美味しい」といったお声も良くいただいております。
日本酒初心者や女性、海外の方にもぜひお試しいただければと思います。大野の水によって生まれた、やわらかい口当たりとほんのりとした甘味と酸味をぜひお楽しみください。
淡いピンク色が美しい『美雨 rose』
赤・白ワインのように色で味の違いを楽しめたらいいなと思い作ったのが『美雨 rose』。古代米(黒米)を使用した、淡いピンク色のお酒です。古代米(黒米)は、表面にアントシアニンと呼ばれる赤い色素を含んでいるので、ロゼワインのような美しい色に仕上がります。
テーブルも華やかになるので、誕生日や記念日といったお祝いの席にもぴったり。味わいは、果実のような爽やかな香りとすっきりとした甘味、そして心地よい酸味が特徴です。
温度による味の違いを楽しめる『山廃仕込純米酒』
続いてご紹介するのは、濃厚で深みのある味わいが特徴の『山廃仕込純米酒』です。山廃仕込は、自然の中にある微生物をうまく取り込みながら、時間をかけてじっくり発酵していく製造法のひとつ。山廃仕込みの日本酒は独特のクセがあるのですが、当蔵の『山廃仕込純米酒』はお客様からも「飲みやすい」と好評です。
冷やして飲むと繊細でキレがあり、常温だとまろやかな口当たり、熱燗にすると酸味のなかにもコクのある味わいを楽しめます。温度による味の変化を楽しみながら飲めるのも、『山廃仕込純米酒』ならではです。
甘酸っぱいりんごの香りが広がる『大吟醸 ルイ』
"日本酒が苦手な人にも飲んでほしい"という思いから開発した『大吟醸 ルイ』。当蔵6代目である息子がはじめて作った大吟醸です。ラベルもりんごのイラストをあしらったポップなデザインにこだわりました。
『大吟醸 ルイ』は、日本酒とは思えないリンゴのような甘酸っぱいフルーティーな香りを楽しめる逸品。清涼感のある味わいと上品な甘味が口の中に広がり、長い余韻を堪能いただけます。マンゴーの生ハムのせや白身魚のムースなど、素材本来の味を活かしたお料理にぴったりです。2020年に開催された鑑評会では、吟醸の部で優等賞を受賞しています。
「日本酒=辛口」「ハードルが高い」というイメージを持つ方もまだいらっしゃると思います。けれど、日本酒と一口にいっても色々なタイプのお酒があり、それぞれに違った味わいがあるんです。和洋折衷さまざまな食事に合わせて楽しめるのも、日本酒の魅力だと思います。もっともっと若い世代の方々にも飲んでいただけるよう、新しいカタチの日本酒を提供していきたいですね。
真名鶴酒造