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「水を制する者が水耕栽培を制す」明野九州屋ファームのこだわりとは

2022.10.17

山梨県北杜市はミネラルウォーターの生産量と日照時間がともに日本一とされている恵まれた地域です。
ここに位置する明野九州屋ファームでは、太陽と南アルプスの天然水の恵みを受けて育った「明野のトマト」というおいしいトマトが作られています。

今回は村澤直樹(むらさわ なおき)さんと甘利浩信(あまり ひろのぶ)さんに明野のトマトについてお話をうかがいました。

茅ヶ岳と明野のトマト
茅ヶ岳と明野のトマト。(写真提供:明野九州屋ファーム公式サイト)
水と暮らす編集部

まずは明野九州屋ファームで使われている水について教えてください。

甘利さん

水系としては茅ヶ岳の伏流水です。ミネラルたっぷりの水という特徴があります。

水と暮らす編集部

茅ヶ岳の伏流水を使うことによって野菜にどのような影響があるのでしょうか?

甘利さん

ミネラルがたっぷりだと、おいしいものができますし、余計な農薬を使う必要がありません。甘いんじゃなくて、おいしいんですよ。実際に食べてみないとわからないと思うので、ぜひ一度めし上がってください。

水と暮らす編集部

では、明野九州屋ファームのこだわりを教えてください。

甘利さん

植物を育てるときに何が大切かというと、ミネラルが入っているかどうかです。例えば純水で作ってもトマトの形はできますが、水にこだわって作ったものとはトマトの成分や食味が全然違います

また、やはり農業はが大切です。ここ明野地区は日本一の日照時間ですし、なおかつミネラルたっぷりな茅ヶ岳の伏流水が流れているので、そういった環境でこだわりながら作っています。

水を制するものが水耕栽培を制す

ビニールハウスの中の様子
ビニールハウスの中の様子。(写真提供:明野九州屋ファーム)
水と暮らす編集部

明野のトマトを作る上で一番難しいことは何でしょうか?

村澤さん

水の管理がすごく難しいですね。水をあげすぎてしまうと味が薄くなっちゃうし、あげなければトマトが枯れてしまうので、バランスを見極めながら、水の量やそこに含まれる肥料の量を調整しています。

水と暮らす編集部

栽培期間はどれぐらいでしょうか?

村澤さん

基本的には通年栽培しています。ブロックが4つに分かれていて、それぞれ季節ごとに植え替えを行い、トマトが品切れにならないように栽培しています。

水と暮らす編集部

季節ごとに水を変えているのでしょうか?

村澤さん

夏は枯れないように水の量を多くやったり、冬はあげすぎると割れてしまうので、調節しながらやっています。

甘利さん

成長の段階によって水の量はだいぶ変えますし、狙っている味によっても水を変えます。肥料よりも水の量で調整しているんです。水を制したものが水耕栽培を制します。

明野のトマトはそのまま食べるのがおすすめ

明野のトマ
明野のトマト。(写真提供:明野九州屋ファーム公式サイト)
水と暮らす編集部

実際に明野のトマトを購入された方からはどんな声が届きますか?

村澤さん

例えば、トマトを食べなかったお子さまでも明野のトマトなら食べるようになったという声があります。味は雑味が少ないので、青くささが苦手な方でも食べられます。

水と暮らす編集部

おすすめのトマトの食べ方があったら教えてください。

村澤さん

僕はそのまま食べるのがおすすめです。

甘利さん

僕はまるかじりが好きです。包丁で切ってトマトの繊維を破壊するよりも、口の中で繊維を破壊した方が幸福感が高まります。もしくは薄くスライスしてモッツァレラチーズとオリーブオイルで食べるのもおすすめです。おいしいですし、ビールとの相性も抜群。
うちは生食がいいので、生食を中心にいろいろみなさん試してくださいます。たくさんの方にぜひ食べていただきたいですね。

水と暮らす編集部

おいしそうですね。ちなみに例えばこの先、トマト以外のものを作る予定はあるのでしょうか?

村澤さん

一応、計画でかぼちゃとかも検討したんですけど、コロナの関係で技能実習生など来られる予定だった方々が来られなくなったので進めておりません。

水と暮らす編集部

コロナ禍で大きな影響を受けたんですね。

村澤さん

販売にかなり苦戦して、単価が下がってしまったり、来る予定だった人が来なくなって栽培が大変だったりしました。販売先は親会社の他に百貨店が多かったので、コロナ禍では足を運んでくださるお客さまが減ってしまったこともあり、けっこう大きな売り上げのところが減ってしまいました。逆にスーパーマーケットの方ではかなり量がさばけたので、最近はそちらがメインになっています。あとはインターネットでの販売も少しずつ始めようとしてます。

水と暮らす編集部

なるほど。最後に今後の展望について教えてください。

村澤さん

今までは大玉トマトという普通のこぶし大のトマトをメインで作ってきましたが、需要が大きなものより小さいものが増えてるので、全体の8分の1を中玉トマトに切り替えて、今後は他の品種も検討しながらいろいろなトマトを作りたいと思います。やっぱりお客さん食べるものを作っていかないといけないので、需要が変わっていけばどんどん新しいものを作っていきたいです。

ビニールハウスの向こうには富士山が見える
ビニールハウスの向こうには富士山が見える。(写真提供:明野九州屋ファーム)

まとめ

今回は明野のトマトのこだわりについて教えていただきました。ていねいに育てられたトマトはとてもおいしそうですね。みなさんも機会があればぜひ召し上がってみてください。村澤さん、甘利さん、貴重なお話をありがとうございました。

明野九州屋ファーム