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天然水かけ流しの水風呂と「神戸ウォーター」が楽しめる「神戸クアハウス」の魅力

2021.06.28

神戸市内、JR三ノ宮駅近くの好立地にある「神戸クアハウス」は、都会の真ん中で天然水かけ流しの水風呂と天然温泉が楽しめる温浴施設です。
館内の水はすべて、六甲山系の水脈からくみ上げた天然水。またこの天然水は「神戸ウォーター六甲布引の水」というミネラルウォーターとして、多くの方に親しまれています。

この神戸ウォーターは、ミネラル分が豊富で長期保存も可能という特徴があるそう。そんな不思議なお水が本当にあるのでしょうか?神戸ウェルネスサポートのマネージャー・小河慎司(おがわしんじ)さんにお話をうかがいました。

トップの画像は男湯の露天風呂。(写真提供:神戸ウェルネスサポート)

水と暮らす編集部

神戸クアハウスとはどのような施設なのでしょうか?

小河さん

神戸クアハウスは1991年創業の温浴施設です。神戸市の北西にある六甲山は日本有数の名山として知られ、その北側には有馬温泉などの温泉街があります。しかし南側の市街地には天然温泉がほとんどありませんでした。温泉が採掘された当時は、新聞の一面に出るほど珍しかったそうです。

2021年3月には創業30周年を迎え、抽選会やオリジナル商品、記念商品の販売など、感染対策を取りながらさまざまなイベントを実施しました。

硼酸泉(男湯)
硼酸泉(男湯)。(写真提供:神戸ウェルネスサポート)
水と暮らす編集部

神戸クアハウスは2種類の珍しい温泉が楽しめるそうですね。どんな温泉なのでしょうか?

小河さん

当施設では、重曹泉と硼酸泉(ほうさんせん)という2種類の天然温泉が楽しめます。重曹泉は別名「美人の湯」ともいわれ、茶褐色のお湯が特徴です。

硼酸泉は無色透明のお湯で、入ると肌の感触がすべすべに。また硼酸泉は少しなら飲める「飲泉(いんせん)」なので、温泉大浴場の入り口に硼酸泉と天然水が飲める飲泉場を用意しているんですよ。

またこの2種類の温泉以外に天然水の井戸も採掘していて、館内すべてがこの天然水でまかなわれている「ミネラルウォーター100%」の施設なのも特徴です。シャワーやカランはもちろんのこと、トイレを流れる水まですべて天然水ですね。

水と暮らす編集部

館内すべてで天然水を利用しているとは、とても贅沢ですね!

小河さん

また近年は「サウナブーム」が到来しています。サウナを楽しむには、サウナ・水風呂・外気浴がワンセットなのですが、特に天然水100%の水風呂が大人気です。おそらく都会の街中で天然水かけ流しの水風呂が楽しめるのは、当施設くらいではないでしょうか。

天然水でできた水風呂は、肌に刺すような感じや塩素のにおいがなく「やさしい水」だと感じます。この魅力に惹かれ、多くのサウナ愛好家「サウナー」が訪れていますよ。

水風呂(男湯)
水風呂(男湯)。(写真提供:神戸ウェルネスサポート)

ミネラル分が豊富な天然水「神戸ウォーター」

水と暮らす編集部

神戸クアハウスでも利用されている天然水・神戸ウォーターには、どのような特徴があるのでしょうか?

小河さん

主な特徴は2点あります。まず1点目は、ミネラル成分が豊富なこと。神戸ウォーターは六甲山の地下深くをゆっくり海へ向かって流れていきます。六甲山は地球が隆起してできたなだらかな山で、花崗岩という硬い地質でできているのが特徴。そこを長時間かけて流れることで、多くのミネラル分を有しているのです。

一昔前にミネラル豊富な硬水を飲むダイエットが流行しましたが、日本人の体質的に硬度が高いとお腹を壊しやすい。しかしこの神戸ウォーターは「中硬水」なので、硬水のデメリットを打ち消しながらミネラル分も摂ることができます。まさに、軟水と硬水の「いいとこ取り」をしたお水なんです。

神戸ウォーターレモネードと神戸ウォーター
神戸ウォーターレモネード(左)と神戸ウォーター(右)。(写真提供:神戸ウェルネスサポート)
水と暮らす編集部

軟水にはない魅力があるんですね。2つ目の特徴も教えてください。

小河さん

2点目は加熱せずにボトリングされている点です。神戸ウォーターは昔から「不純物が少なく長期保存ができる水」といわれ、明治元年に神戸港が開港した際、外国船が神戸ウォーターを積み込んで赤道を通ってもおいしさが変わらなかった、という逸話が残っています。

現代になってから、複数の大学や研究所に調査していただいたのですが、おいしさが変容しにくい理由は明確にはわかりませんでした。おそらく豊富なミネラル成分の中に、抗酸化作用がある物質が含まれているのではないかといわれています。

日本で販売されている一般的なミネラルウォーターは、加熱殺菌をしてからボトリングするのが多いのですが、水は一度火を通すとどうしても味が落ちてしまいがちです。

しかし神戸ウォーターは井戸からくみ上げてすぐにろ過し、ボトリングしています。ほぼ空気にふれずに天然水をそのまま充填できるので、とてもおいしい水を提供できるんです。

またこのおいしさが変わりにくいという特性から、神戸ウォーターの賞味期限は5年に設定されています。長期保存が可能なので、災害備蓄用としても重宝されています。

水と暮らす編集部

編集部でも神戸ウォーターを飲ませていただいたのですが、とてもおいしくて「存在感のある水」だと感じました!

小河さん

「とろっ」「まろっ」としていて、飲みごたえがありますよね。冷やして飲むのはもちろん、コーヒーや紅茶、料理に使用してもおいしいので、ぜひ試してみてください。

また当館内のレストラン「名水レストラン」では、神戸ウォーターを使ったさまざまな料理をご提供しています。特に神戸ウォーターで作ったかき氷などが人気なので、ぜひ一度食べていただきたいですね。

神戸ウォーターがつなぐ地域の輪。厳しいときをともに乗り切りたい

水と暮らす編集部

神戸ウォーターを広めるため、何か新しい試みをされていますか?

小河さん

近年は神戸ウォーターを使った食品や飲料を開発しています。例えば2018年には、神戸港の開港150周年を記念して「神戸ウォーターレモネード」を開発しました。

「150年前の再現」がテーマだったので、香料や保存料などの添加物はいっさい入れず、瀬戸内産レモン果汁とハチミツ、そして神戸ウォーターの3点だけで仕上げているんです。

また近年の高級食パンブームを受け、神戸ウォーターをふんだんに使った「神戸ウォーターブレッド」も開発。神戸クアハウス内のイベントや百貨店の催事などで販売しています。

水と暮らす編集部

では最後に、今後の展望について教えてください。

小河さん

当社には「神戸ウォーターは六甲山からお預かりしているものだから、利益ばかりを追求してはならない」という理念があります。

1995年の阪神淡路大震災では当施設も被災しましたが、突貫工事で温泉を修理し、お風呂に入れない被災者の方の役に立ちたいと、2万人の方に無償でお風呂を開放しました。その時に入浴された方から数えきれないほどたくさんの感謝の言葉をいただき、この仕事に誇りとやりがいを感じています。

また神戸クアハウスの館外には、この水を好きなだけくめる「水くみ場」も用意しており、容器を持参していただければ、100円で約18リットルの水を24時間くむことが可能です。

水くみ場
水くみ場。(写真提供:神戸ウェルネスサポート)
小河さん

この水くみ場は近隣住民の方だけでなく、パン屋や蕎麦屋など良質な水を使いたい飲食店の方も利用されています。また休日には遠方から訪れる方もいらっしゃいますね。

このコロナ禍で、神戸・三宮の飲食店やサービス業は大きな打撃を受けています。今後は神戸クアハウスを起点として、何か地域に役立てるような行動を起こしていきたいと考えています。そして今後も多くの方に、神戸ウォーターや神戸クアハウスの温泉を楽しんでいただけたらうれしいですね。