まるで白州の名水!金精軒の「水信玄餅」について聞いてみた

2021.06.07

日本には全国各地に名水があります。数ある名水の中でも南アルプスの「白州(はくしゅう)」は日本名水百選にも選ばれ、ミネラルウォーターやウイスキー、日本酒でも有名なブランドです。

そんな日本有数の名水「白州の水」をふんだんに使ったある和菓子が、SNSで大きな話題になっているのだとか。

「水を食べる」をコンセプトとした話題の和菓子「水信玄餅」は、金精軒製菓が世に送り出したユニークな商品。この水信玄餅について、経営企画室の清水珠央(しみずたまお)さんにお話をうかがいました。

トップの画像は店舗の様子。(写真提供:金精軒製菓株式会社)

水と暮らす編集部

尾白川水域の白州の名水を使ってお菓子作りをしていると聞きました。まず、白州の水について教えてください。

 
清水さん

白州の水は環境省の日本名水百選にも選ばれている水です。南アルプスの甲斐駒ヶ岳は花崗岩(かこうがん)層が多いのが特徴です。花崗岩は水をろ過するのに適した性質で、甲斐駒ヶ岳自体が巨大なろ過装置ともいえます。山に降った雪・雨が約30年かけて浸透し、地下水となって麓にその恵みをもたらしています。

「白州」という地名の由来でもありますが、甲斐駒ヶ岳から流れる川の水が運んだ砂が扇状になったところが白州です。だからこそ、地下水が豊富にあります。

この水はミネラル分を多く含んだ軟水で口当たりが良くまろやかで、ほのかな甘みさえ感じる良質な天然水なのです。

白州の水はpH値が7.2で、中性のど真ん中にあります。無味無臭に限りなく近いので、素材の味を引き出すことができます。お米やお酒のストレートな味が出ます。和菓子もあんこの味に違いが出てくるので水が大切です。

水と暮らす編集部

軟水はお菓子作りに向いているのでしょうか?

 
清水さん

素材そのものの味を生かすという意味では、水がお菓子の味を左右します。和菓子屋さんがあんこを炊くときに使う素材は、たいてい北海道・十勝産の小豆、「鬼ザラ」と呼ばれるザラメ、そして水だけです。

しかも、あんこを炊く場合には水を大量に使います。ですので、水の味が一番重要といわれております。

白州は名水で有名ですので、有名な酒蔵もあります。うちの斜め向かいにある山梨銘醸七賢さんのお酒「星ノ輝」はANAのファーストクラスで振る舞われているそうです。

水と暮らす編集部

白州といえばサントリーさんが有名ですね。

 
清水さん

はい、サントリーさんは「南アルプスの天然水」というお水を販売していますし、コカコーラさんは「いろはす」を出しています。ミネラルウォーターの生産量では白州がある北杜市は日本一の採水地です。

また、サントリーのウイスキー蒸留所があります。「白州」という銘柄のウイスキーも有名です。

SNSで話題沸騰となった「水信玄餅」

水信玄餅
水信玄餅(写真提供:金精軒製菓株式会社)
水と暮らす編集部

御社の商品で「水信玄餅」というものがありますね。これはどういったお菓子なのでしょうか?

 
清水さん

白州の水のすばらしさを知ってもらうこと」をコンセプトに、7年前に商品開発しました。ちなみに、「水信玄餅」というネーミングはお客さまからの公募で決めました。

水を食べる」お菓子を目指したので、水がギリギリ固まる程度の寒天だけで作っています。なぜごく少量の寒天にしたのかというと、口に入れた瞬間に体温で水に戻るものにしたかったからです。夏場の暑い時期に冷たい水信玄餅を口に入れますと、体温との温度差で瞬間に水に戻ります。

気温が高いと口に入れる前に離水が始まってしまって、ビチャビチャになってしまうので「賞味期限30分」というキャッチコピーにしています。このコピーと、見た目のクリスタルのような美しさがインスタ映えするとSNSではやり、たくさんの人に注目されるようになりました。

「賞味期限30分」の商品なので、ネット販売や通信販売はいっさいしていません。

水と暮らす編集部

通信販売などではなく、実際に白州に来てもらうことを目的として商品開発をしたということなのでしょうか?

 
清水さん

地元を活性化させる起爆剤になればいいと思っていました。北杜市白州という田舎までどうやってお客さまに足を運んでもらうか、ということを考えたわけです。

結果として、ここまで水信玄餅が話題になるとは思ってもみませんでした。今では国内だけでなく、中国、韓国、オーストラリア、ニューヨークなどで形を変えてまねをされて、広まっています。水信玄餅の元祖は紛れもなく金精軒なので、広まってもらえればよいと考えて商標登録をしておりません。

どんなにまねされても、私たちの水信玄餅と同じ味にはなりません。白州の水だからこそ、口に入れた瞬間に水に戻るということができる。他の土地の水を使っても、必ずしも同じようにはならないのです。

口に入れた瞬間に水に戻るというのは、ここだけでしか体験できません。これも白州の水のおかげなのです。

水信玄餅作り
水信玄餅作り。(写真提供:金精軒製菓株式会社)
水と暮らす編集部

水信玄餅以外で売れているお菓子には何がありますか?

 
清水さん

信玄餅の派生商品で「極上生信玄餅」というものがあります。

お水の良さはお酒やお菓子だけでなく、農作物にも生かされます。梨北地域には、米(コシヒカリ)の食味ランキングで「特A」のお米を作っている農家さんがいます。その農家さんが生産する餅米を100%使った信玄餅です。

信玄餅はきな粉を材料にしますが、きな粉の原料である大豆も、地元産大豆を100%使用しています。

その素材の味を最大限に生かすために、お砂糖の使用を極限まで減らしていて、普通の信玄餅の半分ぐらいにしています。

素材にこだわった「生」のお菓子なので、消費期限は3日としています。私どもの信玄餅をよく知っているリピーターさんは、消費期限3日でもこの「極上生信玄餅」を選ばれています。

社員総出で森林再生に取り組む

「優秀和菓子職」取得の職人である土見奈奈さん
「優秀和菓子職」取得の職人である土見奈奈さん。(写真提供:金精軒製菓株式会社)
水と暮らす編集部

御社は森林・里山保全のプロジェクトにも取り組まれていますよね?

 
清水さん

白州のおいしいお水は、甲斐駒ヶ岳と尾白川渓谷のすばらしい自然環境がもたらしたものです。その恩恵に預かっていることが大前提です。自然環境を守ることは、恩恵に預かっている私たちの義務だと思っています。

弊社では森の植樹と漆の木の保全に取り組んでいます。森林の所有者の年齢が高くなり、山が放置されていることが多くなっているので、そうした山を引き受けて再生していくプロジェクトを社員総出で行っています。

森林は放っておくと日陰が多くなってしまい、良い山ではなくなります。定期的に人の手で間伐をしないと山が力を発揮できなくなってしまうんです。

地域住民とともに「もりもり団」という団体を立ち上げて、古くなった木を伐採して、植樹の季節がきたら植樹するという活動をしています。

また、都市と農村をつなぐ地域共生型の市民ネットワークを目指す「特定非営利活動法人えがおつなげて」との共同事業として、地元の在来品種の「青大豆」の栽培を行っています。

先ほどの話にも出ましたように、大豆はきな粉の材料です。その大豆を自社農園で無農薬栽培し、地産地消を実現しています。

まとめ

市販の天然水としてはトップクラスのブランドともいえる「白州の水」。その水100%で作られた和菓子がおいしくないはずはないでしょう。

白州の豊かな自然環境がおいしい水を生み、水を使って生業を行う人びとが自然環境保全に取り組む。白州には理想的な循環ができていると感じました。

水信玄餅

水信玄餅

〈水信玄餅販売期間〉
夏のお菓子「水信玄餅」は毎年6月~9月末までの夏季限定で、台ヶ原店と韮崎店にて販売。
毎週金・土・日曜 9:00~17:00
https://kinseiken.co.jp/news/6778
〈お問い合わせ〉
電話 0551-25-3990(平日9:00~17:00)
メールフォーム https://kinseiken.co.jp/contact/