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名水百選にも選出。ホタルにも愛される、宮崎県小林市・出の山公園の美しい水

2021.07.15

宮崎県・小林市にある出の山(いでのやま)公園は、「全国名水百選」に選ばれた霧島連峰からの湧水と、「ふるさといきものの里100選」に認定されているゲンジボタルが有名です。公園内はできるだけ工事や舗装を行わず、子どもが遊べる遊具などもありません。そのため自然本来の豊かさが広がり、地元の方をはじめ全国からも観光客が訪れます。

そんな出の山公園の魅力は、なんといってもゲンジボタルの生態が見られること。小林市観光協会事務局長の川野美紗子(かわの みさこ)さんに、水がきれいな場所にしか生息しないといわれるホタルにも愛される、出の山公園の魅力についてうかがいました。

トップ画像は霧島連峰。(写真提供:小林市観光協会)

出の山公園は池を中心に成り立つ
出の山公園は池を中心に成り立つ。(写真提供:小林市観光協会)
水と暮らす編集部

出の山公園の成り立ちや歴史を教えてください。

川野さん

出の山公園は、1674年にできた出の山池から始まっているとされています。当時は薩摩藩によって、水田開発のためのため池として作られました。そしてその池を中心に、公園が開発されたといわれていますが、「出の山公園」という名称がいつからついているのかは定かではありません。

記録として残っているのは、1985年からですね。環境省の名水百選に選出された記録からこの名称が使われるようになっています。その後も水質の美しさからホタルが見られることで有名になり、ふるさといきものの里100選にも認定されています。

出の山公園は、自然環境の観点から舗装は最低限。遊具などもありません。そのため、生き物や草木が美しく、四季折々の景色を楽しんでいただけます。

美しいホタルが数多く飛び交う
美しいホタルが数多く飛び交う。(写真提供:小林市観光協会)

水がきれいな場所にしか、ホタルは集まらない

水と暮らす編集部

ホタルは水がきれいな場所でしか見られないと聞きます。それほどまでに水が美しいんですね。

川野さん

もともとこの地域の水はきれいなのですが、自然保護に注力しているのも関係していると思います。俗化した観光地にしないという取り決めがあったようで、今でも周辺の宿泊施設などは制限されています。きれいな水がある場所にホタルが現れるのは、それらの餌であるカワニナという貝の影響です。カワニナは、透明で不純物の少ない川にしか生息しません。今でも毎年たくさんのホタルが見られるのは、水質が良い証拠なのだと思いますね。

水と暮らす編集部

ホタルが見られる時期はいつごろですか。

川野さん

5月中旬から6月中旬が見ごろになっており、毎年その時期にはお祭りも行われています。残念ながら新型コロナウイルスの影響で2021年は中止となってしまいましたが、お祭りの際にはふだん立ち入り禁止になっている水路を開放し、ホタルが飛び交う中を歩いていただけます。ふだんなかなかできないような経験なので、県外からお越しになる方も多いですよ。

川の中の様子までしっかりわかる透明度の高さ
川の中の様子までしっかりわかる透明度の高さ。(写真提供:小林市観光協会)

泥くさくて食べられないといわれる鯉を、出の山ならお刺身で

水と暮らす編集部

出の山公園の、おすすめのスポットについて教えてください。

川野さん

周辺には鯉料理を出すお店が多いです。鯉は、泥くさくて食べられないという方も多いのですが、この地域でとれる鯉は水がきれいなのでくさみもほとんどありません。一番人気なのは唐揚げで、その他天ぷらや刺身なども人気です。また、雌の鯉の卵はお味噌汁の中に入っていて、栄養の高さから妊婦さんがわざわざ来られることもありますよ。

出の山淡水魚水族館にいる、たくさんの淡水魚
出の山淡水魚水族館にいる、たくさんの淡水魚。(写真提供:小林市観光協会)
川野さん

敷地内には出の山淡水魚水族館があり、在来種や外来種の淡水魚をご覧いただけます。見どころは、国内では珍しい大型の淡水魚や天然記念物オオサンショウウオ、さらには水産試験場でチョウザメの養殖など。隣接する出の山池で、鯉の餌やりができるなど、子どもから大人まで楽しめる水族館です。

出の山公園にある取水塔
出の山公園にある取水塔。(写真提供:小林市観光協会)

水は、暮らしをも豊かにする

水と暮らす編集部

出の山公園は、水の美しさを生かした魅力的なスポットがたくさんあるのですね。

川野さん

こちらの公園は水のよさをきっかけに、多くの人が集まるようになった場所です。実際、水の美しさに引かれてお越しくださる方もいらっしゃるのです。公園内に容器を持っていけば湧き水をくんでいただけます。管を通っているので煮沸は必要ですが、ろ過などをせずにお飲みいただけますよ。

市民に愛される小林市の水
市民に愛される小林市の水。(写真提供:小林市観光協会)
川野さん

私たち小林市民の家庭にもこの湧き水が流れていますし、昔から水道水をそのまま飲むのが当たり前でした。私は生まれも育ちも小林市ですが、一時期東京で生活していることもありました。その際には水の違いに驚きましたね。外に出て改めて小林市の水のおいしさを痛感しました。

そんな小林市や出の山公園の良さをぜひみなさんに楽しんでいただきたいです。12月から2月は池の水を入れ替える時期なので、それ以外の時期にお越しいただけるとよいかと思います。

ホタルや鯉料理など、水に自信がなければ難しい観光物がたくさんある、出の山公園。新型コロナウイルスが落ち着いたらぜひ訪れたいスポットです。

小林市観光協会

<公式HPはこちら>