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「いすみ川SUP リバークリーンクルーズ」で楽しみながらごみを削減!NPO法人いすみライフスタイル研究所

2021.06.02

千葉県最大の流域面積を持ち、生息している生物の種類数は日本の中でも有数の生物多様性豊かな夷隅(いすみ)川。ここでは、レジャーと環境保全活動を融合した「いすみ川SUP リバークリーンクルーズ」が行われています。

今回は、主催者であるNPO法人いすみライフスタイル研究所でこの活動の担当をされている副理事長・研究員 江崎亮さんに、リバークリーンクルーズをはじめた経緯や現在の活動について伺いました。

SUPをしながらゴミを探す様子

千葉県いすみ市は、2005年に夷隅町、大原町、岬町の3町合併により誕生しました。九十九里浜最南端に位置し、里海と里山に囲まれた自然豊かな町。サーフスポットとして有名な「太東海水浴場」や、新鮮な魚介類を味わえる「港の朝市」が行われている大原漁港など、観光スポットもたくさんある魅力的な地域です。

しかし、近年は、人口減少と農林業従事者の減少により、里山や田畑の荒廃が進み耕作放棄地も増えてきました。

そのため、夷隅川にごみや木や竹なども流れ出し、河口から上流の川岸までの環境が劣悪になってきました。このことは川の水を使う農業にとってもいいことではありません。また、夷隅川の環境の悪化は、海の自然環境や漁業へも悪影響を与えます。

そこで、いすみ市の観光はじめ農業・漁業などに恵みをもたらしてくれる夷隅川の自然環境と美しさを守るべく環境保全(清掃活動)をはじめました。はじめるにあたっては、地球環境基金の助成を受け、いすみパドルクラブの協力を得ることができました。

それが、「いすみ川SUP リバークリーンクルーズ」です。今年度は、6月から11月にかけて、月1回ペースで開催する予定です。

体を動かしながら夷隅川をきれいに

いすみ川SUP リバークリーンクルーズの集合写真

ーー「いすみ川SUP リバークリーンクルーズ」では、具体的にどのように清掃活動を行っていますか?

参加者はスタンドアップパドル(SUP)というサーフボードに乗り、パドルで漕いで川を移動しながら川岸の竹や木の枝に引っかかっているごみや水面に浮いているごみを拾います。

手で直接拾うだけでなく、伸び縮みするマジックハンドや枝切り鋏でごみを挟んで取ったりします。

ーーSUPやサーフィンの経験がない初心者でも問題ないでしょうか。

もちろんです。専任のインストラクターが、パドルの漕ぎ方やバランスの取り方を丁寧にレクチャーしてくれますし、ライフジャケットも着けていただくのではじめての方でも安心してご参加いただけます。

リバークリーンクルーズを通して、環境保全について関心を持っていただくきっかけになれば嬉しいですね。

ーーいすみ川にはどういったごみが多いのでしょうか。

やはり、レジ袋やペットボトルといったプラスチックごみですね。次に多いのが、ビールや酎ハイ、発泡酒などの空き缶、肥料などを入れるビニール袋など農業用資材です。

いすみ市は農業が盛んな地域で、川の周辺に田んぼや畑が多いんです。リバークリーンをしていると、田んぼや畑から風で飛ばされてきたビニール袋が川岸の枝に引っかかっていることがよくあります。

ごみを"放置しない"という意識を持つことも大切

ーー活動をはじめる前と後で、どういった変化がありましたか?

活動当初に比べてごみの量は減少してきていると思いたいですね。また、レジ袋が有料化されたことで、レジ袋のごみは減ってきている気がします。

ただ、大雨や台風のあとは上流域や周辺から流れてきたごみで川は悲惨な状態です。川ごみのほとんどが放置されたごみが風で飛ばされたもの、ポイ捨てや不法投棄によるもので、拾っても拾ってもキリがないんですよね。それでも夷隅川が少しでもきれいになればと思いリバークリーン活動を続けています。

それから、当団体のSNSでこの取り組みを知り、それがきっかけで東京や千葉など遠くから参加してくださる方が増えましたね。リバークリーンに参加したついでに、いすみ市周辺で食事をしたり遊んで帰る方も多く、地域の魅力を知ってもらうという意味でも大きなきっかけのひとつになっています

ーーこれまでの活動で印象に残っていることはありますか?

子どもたちが楽しそうにごみ拾いをしている姿が印象的ですね。ごみ拾いそのものをゲームのように楽しみながら、積極的にごみを回収してくれる子どもたちが多いんですよ。

川で遊ぶ経験が少ないようですから、ごみを拾うこと自体が川遊びのひとつなんですね。目をキラキラ輝かせてはしゃぐ子どもたちの姿を見ると、これからもこの活動を続けていきたいと思います。

ーーそれでは、最後に展望を教えてください。

参加者の層が地元サーファーから未経験者に、そして地元の人から都市部の人へと広がってきていることを嬉しく思っています。

いすみ川SUP リバークリーンクルーズ」での体験を通じて、プラスチックごみ問題の現状の一面を知っていただき、自然環境保全の重要性、そしていすみの自然をより多くの人に体験していただけたらと思います。

川ごみの原因の多くが、ポイ捨てや放置によるものです。ポイ捨てだけでなく、ごみの放置もやめようということを伝えていきたいですね。

また、SUPはボードの上に立ってバランスを取るので、体幹が鍛えられいい運動にもなります。「健康的なアクティビティを楽しみたい」「自然に触れて非日常の時間を過ごしたい」という方にもぜひご参加いただければ嬉しいです。

NPO法人いすみライフスタイル研究所

NPO法人いすみライフスタイル研究所公式HP

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