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北アルプスの雪解け水が源流! ほど良いミネラルを含む富山市の水の魅力

2021.06.16

質も量も全国トップレベルの水環境が整い、「水の王国とやま」とも呼ばれる富山県。標高3,000m級の山々が連なる、北アルプス・立山連峰の雪解け水も水源のひとつです。富山市も湧水の「殿様清水」や「石倉町の延命地蔵の水」の井戸など名水も多く、水道水もおいしいとか。

富山の水のおいしさを伝えるために水道水をペットボトルで販売し、その魅力を発信する富山市上下水道局の取り組みについて、経営企画課の主査である山本洋平(やまもとようへい)さんにお話をうかがいました。

トップの画像は、富山市の水がめといわれる有峰湖(有峰ダム)。(写真提供:富山市上下水道局)

水と暮らす編集部

富山市の水道水は、どのような地形や歴史的要因から生まれた水を使っているのでしょうか?

山本さん

富山市は古くから良質で豊富な地下水に恵まれ、自噴(じふん)水が得られたので飲料水には事欠きませんでしたが、人口の密集化によって水量が不足したため、上水道敷設が必要となりました。

当初は、上水道の水源を地下水に依存していましたが、市域の拡大・市勢の発展にともなって上水道の需要も増大し、「表流水(ひょうりゅうすい)」に水源を求めた結果、常願寺川水系の水が流れる常西合口用水から取水することとなったものです。

取水している水のおもな水源は、北アルプスの立山山麓周辺のブナ等の自然林に蓄えられた豊富な水であり、その水が急峻(きゅうしゅん)な地形を流れ下り、十分な酸素と適量のミネラルを含む水道水の源となって、最終的に常西合口用水に流れ込んでいます。

常西合口用水
常西合口用水。(写真提供:富山市上下水道局)
水と暮らす編集部

北アルプスの豊富な雪解け水があり、保全された森林でさらにきれいになり、急流河川で澄んだ水を運んでくれるのと、岩石からの溶け出したミネラルもほど良いということですね。富山市の水道水はおいしいといわれているようですが、どのような味がするのでしょうか?

山本さん

「おいしい水」の定義については、厚生労働省が水道水の水質や成分から客観的に判断できるように、「おいしい水研究会」を発足させ、下記のような要件を定めております。この数値からも富山市の水道水の水質が良好で、おいしい水の要件をほぼ満たしていることがわかります。

   
項目 おいしい水研究会が定めた要件
(濃度等)
富山市の水道水※1
蒸発残留物 30~200mg/L 56mg/L
硬度 10~100mg/L 26.8mg/L
遊離炭酸 3~30mg/L 3mg/L※2
過マンガン酸カリウム消費量 3mg/L以下 0.5mg/L
臭気度 3以下 1未満
残留塩素 0.4mg/L以下 0.34mg/L
水温 20℃以下 15.6℃

※1 令和2年度定期水質検査を実施した給水栓9ヵ所での検査結果平均値。
※2 おいしい水の要件は水道法による水質基準ではありません。厚生労働省の示す遊離炭酸の管理目標値は平成25年4月現在、20mg/L以下となっています。

10年連続でモンドセレクション金賞以上を受賞している「とやまの水」

水と暮らす編集部

富山市の水道水を詰めたペットボトル「とやまの水」の特徴を教えてください。

山本さん

「とやまの水」は、富山市の水道施設である流杉浄水場で浄水された一般家庭にも供給している水道水をペットボトルに詰めて販売している商品です。

北アルプスの雪解け水を原料とする水道水は、絶妙なミネラルバランスによって雑味のない高品質な味わいを実現しており、ペットボトルに充填する際は、薬剤などをいっさい使うことなく、熱滅菌と高温充填で製法しています。

水と暮らす編集部

最初は缶で発売されていたのですよね?

山本さん

1989年に富山市観光物産課が観光PR用として「水の缶詰」を製作しました。1995年からは観光物産課での製作は終了し、富山市水道通水60周年記念事業の一環として、富山市水道局で「水の缶詰」の製作を開始するようになりました。

その後、1998年にペットボトル容器に移行し、観光PRや本市開催のイベント等で無償配布していました。2002年に全国紙での紹介を機に全国から反響をいただいたことがきっかけで、2003年から有償販売を開始しています。

とやまの水のポスター。(写真提供:富山市上下水道局)
水と暮らす編集部

モンドセレクションで賞を多数受賞されていますね。

山本さん

商品誕生から23年目を迎えた2012年に、富山市の水道水の品質やおいしさを広くPRすることを目的として、初めてモンドセレクションに応募したところ、金賞を受賞しました。この受賞を機に、「とやまの水」のさらなる認知度向上を図るため、翌2013年には、ペットボトルパッケージのリニューアルを行いました。

とやまの水500ml
とやまの水500ml。いきいき富山館(東京アンテナショップ)やGOSHU(とやマルシェ)などで購入可能。インターネット通販でも買える。(写真提供:富山市上下水道局)
水と暮らす編集部

ラベルデザインもきれいですね。

山本さん

新しいペットボトルラベルのデザインコンセプトには、「親しみやすさ、楽しさ、面白さ」を掲げ、より多くの人に富山市の水道水のおいしさを知ってもらえるようなデザインとしました。

具体的には、「源流の北アルプス」や「自然林のブナ」、「水源の常願寺川」、「水道の蛇口」などをモチーフにしたイラストをあしらい、薄く青のグラデーションを取り入れることで透明感のある美しい仕上がりとし、ナチュラルでおいしい水道水の印象を強調しました。

新パッケージで出品したモンドセレクション2013では、最高峰に値する「最高金賞」を受賞することができ、本市の水道水の品質やおいしさはもとより、ラベル包装も含めた飲料水の商品として高い評価をいただいたものと考えております。

「とやまの水(ペットボトル)」は、2012年の出品以降、10年連続でモンドセレクション金賞以上を受賞しています。上下水道局としましては、本市の水道水が継続して国際的にも高く評価されていることについて、富山市民のみならず、市外から訪れる人に対しても多様な媒体を通じて広くPRすることで、「とやまの水」への関心や本市のイメージ向上を図っていきたいと考えています。

豊かな水に抱かれ、水の豊かさを感じられる富山市

水と暮らす編集部

富山市の水道水について災害時の備蓄方法や取り組みがあれば教えてください。

山本さん

災害時の備蓄用としての特別な備蓄はしていませんが、「とやまの水」のペットボトルは2年間の賞味期間があるため、賞味期間のうち1年経過した在庫分については必要に応じて、災害時に活用や提供することは可能と考えています。

  

なお、2018年7月に発生した西日本豪雨の際には、広島県呉市から要請を受け、救援物資として「とやまの水」のペットボトルを420箱(計10,080本)提供しています。

富岩運河環水公園
富岩運河環水公園。(写真提供:富山市上下水道局)
水と暮らす編集部

ちなみに、富山駅から徒歩10分ほどにある、富岩運河環水公園(ふがんうんがかんすいこうえん)は、水辺空間の豊かさと緑との調和が楽しめる親水文化公園だそうです。

背後にそびえる富山のシンボル・立山連峰も圧倒的で、 “世界一きれいなスタバ”としてSNSで話題になったこともある美しい「スターバックスコーヒー 富山環水公園店」があることでも知られています。運河クルーズや水のエレベーターが体験できる「富岩水上ライン」や、富山県美術館などもそばにあり、1日楽しく過ごせそうですね。「とやまの水」を片手に富岩運河沿いを散策したくなります。

山本さん、ありがとうございました!

オンラインショップ等の告知など
富山県いきいき物産