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水を知る

富山の天然水・海洋深層水を世界へ。五洲薬品こだわりの製品作りとは

2021.07.28

五洲薬品株式会社は、昭和22年創業の歴史ある企業です。社名の「五洲」は、中国の言葉である「五洲四海(5つの大陸と4つの海。転じて「全世界」の意)」から採用。富山の豊かな大地が育んだ天然水、そしてきれいな海に眠る海洋深層水から生み出した製品を世界に向けて展開しています。

そんな五洲薬品は、どのような点にこだわって製品作りを行っているのでしょうか? 五洲薬品 研究開発部部長の佐伯行紀(さえきゆきのり)さんにうかがいました。

海洋深層水のイメージ
水と暮らす編集部

五洲薬品の基本理念は「生命の根源は太陽と水と緑である」ですが、なぜこのような理念を掲げているのでしょうか?

佐伯さん

五洲薬品の創業者である藤井良三は、戦時中に中国・上海で薬を販売する仕事を行っていました。あるとき水にあたり、命を落としかけてしまいます。

その際たまたま持っていた医療用の蒸留水に命を救われ、水や自然環境の大切さを実感。富山で起業後、自然環境を維持しながら、安心・安全に飲める水を守り広めていこうと、国内にて早くからミネラルウォーター事業にも取り組みました。

当社の基本理念にある「生命の根源である太陽と水、これらが育む緑を大切に守り、地球環境を維持していこう」にはこの想いがあります。

水と暮らす編集部

五洲薬品では、富山の天然水を扱っています。この天然水はどのような場所で採水されているのでしょうか?

佐伯さん

五洲薬品の製品は、富山市婦中町千里にある弊社・千里工場で製造されています。千里工場周辺の自社保有の山林の一部は富山県の自然環境保全地域に指定されている、まさに自然の宝庫。水がきれいな場所でしか生きられないモリアオガエルも生息しているような、自然豊かな場所です。

弊社ではこの場所にいくつもの源泉を保有しており、自然の恵みそのままの天然水や温泉水を製品作りに活用しています。

水と暮らす編集部

自然環境保全地域で採れる水! それは自然の恵みそのものですね。

佐伯さん

富山の水はきれいなことで昔から有名で、他県の方から「富山では水道の蛇口からミネラルウォーターが出るよね」と言われるほどです。そんな富山の水を全国各地の方にお届けしようと、弊社では昭和52年からミネラルウォーター事業を開始しました。

ところが当時は「水=無料で飲めるもの」という認識で、なかなか広まらず非常に苦労をしました。ただ都市部では、水道水の浄化技術が今よりも劣っていて、「塩素消毒によるトリハロメタンの生成が人体に有害ではないか」などの報道もあるほどだったので、信頼度の高いおいしい水のニーズが必ずあるだろうと思っていました。

水と暮らす編集部

ミネラルウォーター事業は成功したのですか?

佐伯さん

そうですね。平成に入ってからミネラルウォーターを買うという文化が徐々に定着してきて、ペットボトルに入れた水が売れるようになりました。大手企業が続々参入してきたことや、渇水による水不足などの社会背景も影響していたと思います。

結果的にミネラルウォーター市場は急成長しました。昭和52年からミネラルウォーターを作っていたところはほとんどなかったので、「ミネラルウォーターのパイオニア」としてご愛顧いただきましたね。

富山の珍しい地形と富山湾が育んだ海洋深層水を利活用

水と暮らす編集部

一方で御社では、海洋深層水も取り扱われています。なぜ海洋深層水を活用しようと考えたのでしょうか?

佐伯さん

「母なる海」という言葉があるとおり、生命の起源は海。はるか昔から、海の水にはミネラルや生命誕生のカギとなる成分が含まれているといわれていました。

弊社では水の研究を長年行っていましたので、海の水も研究してみたいという思いは深まるばかり。そんなときに富山県から海洋深層水の研究公募があり、1996年から海洋深層水に関する研究をスタートできることになったのです。

富山の海底には山からの地下水が湧き出すというめずらしい現象があります。その仕組みは北アルプスに降り積もった大量の雪が少しずつ溶けて地下に浸透。その地下水がろ過に適した地層で清冽(せいれつ)に研ぎ澄まされながら、高低差のある地形から水圧が加わり、海底から湧き出るというものです。

そして、この地下水が流れ込む富山の海岸底から、約2000年前の木が腐らずに残っている「埋没林」が発見されています。なぜ腐らないかというと、無菌状態の極めて清浄な地下水で密閉状態となり、バクテリアによる分解が抑えられたためと考えられています。こんな神秘的な現象のある富山湾から採れるのが、富山の海洋深層水なのです。

水と暮らす編集部

非常にめずらしい地形から生まれた海洋深層水なんですね。この海洋深層水にはどういった特徴がありますか?

佐伯さん

人体は無数の細胞から成り立っていますが、この細胞をとりまく体液には、細胞外液と細胞内液があります。このうちの細胞外液と海洋深層水の電解質組成が、実は非常によく似ていて親和性が高いのが、海洋深層水の大きな特徴と考えています。

海洋深層水の利活用
(写真提供:五洲薬品)
佐伯さん

ただ、海洋深層水を多方面に利活用するにあたっては、そのままでは難しい。そこで弊社では独自の「脱塩分離設備」を開発し、飲料や化粧品などさまざまな形で利活用できるような製造モデルを作り上げました。

この仕組みを利用し、北アルプスを起源とする天然水の良さとも掛け合わせながら、ミネラルウォーターや化粧品類、入浴剤といったさまざまな製品を作っています。

天然水・海洋深層水を活かした「経口補水液」や「化粧品」

水と暮らす編集部

五洲薬品の製品ラインナップは非常に豊富ですが、特に一押しの商品を教えていただけますか?

機能性ウォーター
(写真提供:五洲薬品)
佐伯さん

弊社では天然水や海洋深層水、それから温泉水を利用して、それぞれの良さを活かした製品作りを行っています。通常、清涼飲料には香料が使用されていることが多いのですが、弊社ではあまり香料を使いません。素材を最大限活かしたものづくりにこだわりながら、多くの「機能性ウォーター」を販売しています。

その中で2020年に発売した『経口補水液G-OS』は「特別用途食品(個別評価型病者用食品)」として消費者庁の許可を得た経口補水液になります。「軽度から中等度の熱中症・脱水状態の方が水分・電解質を補給・維持するのに適した病者用食品」で、今後の活用を期待しているものです。

この商品は、天然水も使用しつつ「海洋深層水の電解質組成が細胞外液に近い」という特徴を最大限活かしたもので、海洋深層水の成分利用に着目して長年研究してきた成果が発揮されていると考えています。

水と暮らす編集部

水製品以外にもおすすめの商品はありますか?

五洲薬品が開発したスキンケアシリーズ「富山クオリティ」
富山の自然由来原料を活用した「富山クオリティ」。(写真提供:五洲薬品)
佐伯さん

力を入れているのは化粧品ですね。富山のきれいな水にぜひ体の外からも接していただきたいと思い、天然水や海洋深層水を使った化粧品作りを行っています。

2018年に香港で開催された「Cosmoprof Asia(コスモプロフ アジア)」という、アジア最大級の化粧品関係の展示会に参加したのですが、弊社の天然水や海洋深層水活用製品が並んだブース前には、かなりの人だかりができました。

日本では水がきれいなことは当たり前になっていますが、海外では日本の水のきれいさは非常に魅力的に感じるようです。今後は国内だけでなく海外にも向けて、富山の水を発信していきたいと思います。