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鰹節を極めて70年。老舗「伏高」が考える、だしにおける水の重要性とは

2021.06.23

日本食には欠かせない「だし」。大正7年創業の鰹節専門店「伏高(ふしたか)」は、東京・日本橋で鮮魚仲卸として創業。関東大震災の後、中央卸売市場が現在の築地に移転したのを機に、鰹節仲卸として卸売販売を始めました。現在は、店主自らが自信をもっておすすめする削り節や仕上節のほか、だしパック、昆布など料理のうま味をさらに引き出すような調味料の販売を行っています。

伏高の特徴は、品揃えが非常に豊かであること。消費者の多様なニーズに応えたいという思いで、たくさんの種類を揃えています。
今回は、おいしい料理やだしに欠かせない水の重要性や、おいしいだしのとり方についてうかがいました。

トップの画像は伏高の商品。(写真提供:株式会社伏高)

伏高の商品で作っただし
伏高の商品で作っただし。(写真提供:株式会社伏高)
水と暮らす編集部

日本食といえば、やはりだしは欠かせません。日本のだし文化における水の重要性について、中野さんはどう考えられますか?

中野さん

日本は水に恵まれており、水道水でも問題なくおいしく飲めますよね。当たり前においしい水が飲め、そこからだしも取れているので、多くの人は水の重要性をこれまで考えもしていなかったと思います。とはいえ、やはり良いだしはおいしい水からでなければとれません。

日本食は一般的には軟水が適しているといわれています。日本の川の水の多くも軟水ですよね。くせがなく、まろやかな口当たりなのでやさしい風味の和の食にもマッチします。ただ、だしを出す際にアクが出るものは少し硬度がある方がよいともいわれています。料理にこだわる方であれば、鰹節と昆布で使用する水を変えることもあるんですよ。昆布は軟水ですが、鰹節でだしを取るときには少し硬度のある水を使用することでよりおいしいだしが取れるんです。

水と暮らす編集部

地域によってもだしに使用する水は異なるのですか?

中野さん

一般的に、関東の水は硬度が高いとされています。鰹節文化が根付いているのも、その影響があると思います。また、日高昆布は東京の水に合うともいわれていますね。京料理であれば利尻昆布や真昆布がよく使用されています。ただ、一般家庭であれば水との相性以上に、味の好みで選ばれることが多いです。

だしを使った食事のイメージ画像
だしを使った食事のイメージ画像。(写真提供:株式会社伏高)

だしを取ることで、料理にうま味が増す

水と暮らす編集部

料理をするにあたり、だしを取ることの大切さについて教えてください。

中野さん

どんな料理でも、うま味を引き出すのはだしなんですよね。三大うま味成分といえば、イノシン酸・グルタミン酸・グアニル酸ですが、鰹節はイノシン酸、昆布はグルタミン酸、椎茸はグアニル酸が含まれています。日本食だと鰹節や昆布でだしを取ることが多いですが、トマトなどからでもだしを取れるんですよ。トマトにはグルタミン酸がたっぷり含まれていて、魚にはイノシン酸が含まれています。一瞬「え!」と思うような組み合わせである、サバのトマト煮がおいしいのは、うま味成分が作用しているからなんです。おもしろいですよね。

水と暮らす編集部

成分について知っているだけで、料理がより楽しくなりそうですね!

中野さん

日本のだしのすばらしさのひとつは、手軽さです。昆布や鰹節は、沸騰したお湯の中に入れるだけで簡単にだしを取れますよね。西洋料理であれば、お肉を数時間煮詰めるなどとにかく大変です。手軽だからこそ、いろんなだしを取って新たな食の楽しさにふれてもらえるとうれしいです!

伏高の鰹節
伏高の鰹節。(写真提供:株式会社伏高)

販売する鰹節は、「自信をもっておすすめできるもの」だけ

水と暮らす編集部

伏高さんでおすすめの鰹節について教えてください。

中野さん

伏高では、お客さまのニーズに合わせていろんな種類の鰹節をご用意しています。カツオからできているものもあれば、マグロやサバからとった鰹節もあります。カビの有無や削り方によって味わいや風味が変わっており、どれが良いかはお客さまのお好みですね。用途に合わせて特徴があるので、お客さまには店頭でお話しするほか、ホームページにも細かく記載しています。

なかでも人気なのは、「薩摩本節の削り節」です。日本近海または南方沖で一本釣りされた大型のカツオを原魚にしています。そこから、卓越した技術をもつ製造家によって手削り風に製造された、当社の中でも最高峰の鰹節です。手削り風なので食感が柔らかく、そのまま食べてもおいしいですし、だしはさまざまな用途にご利用いただけます。

水と暮らす編集部

伏高さんの鰹節は、品質の高さも有名ですよね。こだわりなどはありますか?

中野さん

「おいしくないものは売らない」これは私のモットーですね。実際に食べて、自信をもっておすすめできるものしか販売していません。もちろん業務用の場合には予算の関係もありますが、予算内でもベストといえるものを販売しております。
お料理好きの人にも「おいしい」と言っていただけるように、仕入れは現地まで足を運び、製造過程もしっかり把握しています。生産者さんから聞いた話や私が感じるおすすめポイントは、ホームページにも詳しく書いているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

だしの取り方のコツは鰹節をたっぷり使うこと。(写真提供:株式会社伏高)

だしを取る時は、味がしっかりしみ出すようにたっぷりと

水と暮らす編集部

家庭でのおいしいだしの取り方について教えてください。

中野さん

まず、水については水道水のままでもよいですが、可能であれば浄水器を通してあげてください。カルキくささを飛ばすことで、くせがなくなります。こだわる方は天然水を使用されますが、そこはお好みですね。

また、だしを取る際には量をしっかり入れなければ味は出ません。たまに、ミニパックを入れてだしを取っている方がいらっしゃいますが、1Lに対して50g程度は入れましょう。ちゃんとした素材であれば、使いすぎてまずくなることはありません。まずは50g程度入れ、そこからお好みに合わせて調節してください。

水と暮らす編集部

だしを見直すことで、日々のお料理がより楽しくなりそうですね。ありがとうございました!

団体のスペック、オンラインショップ等の告知など
株式会社伏高
東京都中央区築地6丁目27番2号

伏高公式サイト