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お酒を健康的に楽しむ! FBOに学ぶ、和らぎ水を飲むといい理由や効果

2021.07.28

日本酒を飲むときに一緒に飲む「和らぎ水(やわらぎみず)」をご存じですか? お酒と一緒に水を飲むことで、過剰な酔いを防ぐ効果が期待できるようです。このような正しい知識を身につけて、より健康的によりおいしくお酒を楽しめたらいいですよね。

日本酒や焼酎などのお酒を飲むときの水分補給の必要性や、お酒を飲む際に知っておくとよい水の知識について、NPO法人 FBO(料飲専門家団体連合会)の専務理事兼事務局長である大森清隆(おおもり きよたか)さんに、お話をおうかがいしました。

トップ画像。(写真提供:株式会社せんきん)

水と暮らす編集部

FBO(料飲専門家団体連合会)はふだんどのような活動をされているのでしょうか。

大森さん

飲食サービス業や飲食小売業に携わる人材育成と認定をしている消費者団体です。2008年に設立し、SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会)や、「ワインコーディネーター/ソムリエ」の資格認定団体である全日本ソムリエ連盟(ANSA)などが加盟しており、各認定資格を公認しています。葉巻やパイプ、チーズなども扱いますが、団体の成り立ちから、お酒類が中心です。

もともと、1991年に酒造業界、酒類流通業界などの支援を受け、日本酒および焼酎の提供・販売従事者らによりSSIが創立されたのが始まりです。日本酒と焼酎を中心に、提供・販売する人材の育成や能力の保証をしている団体ですが、2021年の今年で、ちょうど30周年を迎えています。

FBOは飲食に関するさまざまな団体がそれぞれで活動していましたが、飲食業従事者の利便性を高めるために統合しました。

水と暮らす編集部

SSIは、日本酒の資格だけでも、唎酒師日本酒ナビゲーター日本酒検定などの認定をされているのですね。どういう目的と違いがあるのですか?

 
大森さん

ワインのソムリエが中心になって、日本酒の勉強を始めたのが成り立ちです。唎酒師という資格や制度を作ったのは、日本酒・焼酎の魅力を伝えられる人材の育成が目的で、日本酒のソムリエともいえる資格認定です。

日本はもちろん世界中の方に日本酒の魅力を伝えていくための資格です。これまでに4万人以上の方に取得していただいていますね。

日本酒ナビゲーターや日本酒検定は消費者向けの資格です。唎酒師と飲み手の距離を縮め、消費者の方にも、もっと日本酒への興味をもっていただくためのものですね。

ワインや水もそうですが、日本酒もより深く知っていただくことで、価値をより感じられるようになると思います。

 
水と暮らす編集部

日本酒の世界がよくわからない、どんなお酒をどう合わせて飲んだらいいのかわからない時には、まず唎酒師の方がいるお店に行って聞きながら飲むとよいのでしょうか。

大森さん

それが間違いないですね。どういうお酒がどんな味か、どう飲むとおいしく飲めるのか、そして、日本酒の世界や飲み方を知ったら、よりお酒の魅力がわかったと思ってもらうようにするのが唎酒師の仕事だと思います。

NPO法人FBOとSSI
NPO法人FBOとSSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会)共催で、日本酒・焼酎テイスティングトレーニングセミナーをオンデマンドなどでも配信している。(写真提供:FBO)

よりおいしくお酒を楽しむために、水も一緒に飲むことが大事

水と暮らす編集部

お酒を飲むときには、水も一緒に飲んだ方がよいのでしょうか。

大森さん

間違いなく、水は飲んだ方がいいでしょう。お酒を飲みながら水を飲むといい理由はふたつあります。

ひとつ目は、口直しです。今は日本酒だけを飲む方というのはあまりいないですよね。おつまみや料理を楽しむ際は、一度水を飲んで口の中をさっぱり洗い流してリセットするとよい、という意図があります。舌の感覚を鈍らせないので、さかなや料理の味、次の一杯もしっかり味わえるのではないでしょうか。

ふたつ目は悪酔いしにくくなる効果が期待できます。過剰な酔いや二日酔いを避けやすくなります。

日本酒にかぎりませんが、アルコールを飲むと、脱水症状が起こりやすくなりますが、それを防ぐことにもつながるのですね。脱水が起こると、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどのミネラルが失われるので、水や食品で補うとよいのです。ただし、水だけでまかなうのは無理なので、ナッツ類やチーズなどのお酒のつまみがあると悪酔いを防ぐことにつながるのですね。

身体が塩分などを欲するのは、脱水でナトリウムが出てしまうからですよね。この感覚を経験したことのある方も多いのではないでしょうか。

日本人の約半数は生まれつきアルコール(アセトアルデヒド)の分解力が低く、少量のアルコールでも酔いやすいといわれています。

お酒に強いと思われる人も飲みすぎを避ける意味でもしっかり水を飲んだ方がよいですね。

水を飲むとお腹が膨れるので、お酒を一度に大量に飲むことを避けられるという効果もありますが、酔いが回るスピードも遅くなるかわりに長時間飲めるので、結局飲みすぎてしまうことはあるかもしれないので(笑)、気をつけてくださいね。

日本酒のチェイサー、「和らぎ水」とは?

水と暮らす編集部

日本酒と一緒に飲む水のことを、酔いを和らげる水として「和らぎ水」と呼ぶようですが、いつからそう呼ばれるようになったのでしょうか。

大森さん

日本酒造組合中央会さんという酒造メーカーの組合で、日本酒の啓蒙活動の一環として推奨している呼び方なのです。20年ほど前からでしょうか。もう少し一般的に知られるといいでしょうね。

水と暮らす編集部

和らぎ水にはどんな水が向いているのでしょうか?

大森さん

日本の水の多くは軟水です。飲み慣れない硬水を飲むと不快感を覚える方もいらっしゃるので、ふだんから飲み慣れた軟水が合うのではないでしょうか。そしておいしいお酒と一緒に水を飲むのであれば、せっかくなので水道水をそのまま飲むより、ミネラルウォーターなどの方がいいかもしれませんね。また、あまり冷たすぎない方がよいでしょう。

水と暮らす編集部

日本酒の仕込み水を和らぎ水として勧める蔵もありますよね。

大森さん

水は品質管理が難しいので、日本酒造りの仕込みに使う生水(なまみず)をそのまま市販する商品として出すのは実はなかなか難しいことです。おいしい日本酒とその日本酒の仕込みに使う水を一緒に飲むというのはいかにもお客さまに喜ばれそうな試みですが、実際は設備投資も必要で、かなりコストもかかります。

仕込み水に使うのは、ろ過処理をしていない生水ですから、飲み水として販売するにはかなりの加工も必要になるので、原形をとどめているものではなくなり、まったく同じものを飲めるわけではないでしょうね。

日本酒の仕込み水。(写真提供:株式会社せんきん/FBO)
水と暮らす編集部

日本酒のチェイサーとしては水だけが向いているのでしょうか。

大森さん

アメリカやヨーロッパでは、ラムやウォッカ、ジンを飲みながらフルーツジュースやコーラなどをチェイサーにすることもあります。ウィスキーを飲みながらチェイサーにビールを飲むこともあります。日本でチェイサーというと、水だけですが、それは日本人にアルコールに弱い方が多いからなのではないでしょうか。チェイサーとしては、やはり水が向いている方が多いのでしょうね。

水と暮らす編集部

なるほど。ありがとうございました!

 

NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)