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観光客が「また飲みたい」とリピートする、埼玉・奥むさし飯能のお水

2021.06.11

あなたはふだん、どのようなお水を飲んでいますか? 地方ではそのまま水道水を飲む方も多いと思いますが、都心のほうでは、よりおいしいお水を求めて自分で選択している方もいるかもしれません。今回取材させていただいた、奥むさし飯能(はんのう)観光協会がある埼玉県の飯能市には、他の地域から水を汲みに来る人もいるほど、おいしいお水が流れています。そしてそのお水は、『源流飯能水』として、お土産売り場や自動販売機などで販売されています。
それほど多くの人が魅力を感じている源流飯能水について、担当者の沼崎修一(ぬまざき しゅういち)さんにお話をうかがいました。

トップの画像は源流飯能水。レジャーやハイキングなどの水分補給や、自宅での飲み水などさまざまな用途にマッチする。飯能市が開発し、2012年に奥むさし飯能観光協会が引き継いだ。(出典:一般社団法人 奥むさし飯能観光協会公式サイト)

水と暮らす編集部

源流飯能水の特徴を教えてください。

沼崎さん

名栗の山間地を流れる入間川の源流から水を取った水道水です。それから塩素を除去し、加熱殺菌処理を行ってペットボトルに詰めました。もとは水道水なので、飯能市に住んでいる方は手軽に自宅で飲むことができます。そのため、多くの住民はお水のおいしさに慣れているのですが、他の地域の方たちは口を揃えて「おいしい」と言ってくれますね。

水と暮らす編集部

自宅でおいしいお水を飲むことができるのは羨ましいです。他の地域の方たちからも好評を得ているのですね。

沼崎さん

はい。最近はコロナ禍の影響もあり、自然にふれたいという需要が高まっています。奥武蔵も自然豊かな地域の一つなので、ハイキングなどに訪れる方が急増していて。その休息がてら、山間部に流れる飯能水を飲み、そのおいしさに気づいてくれることも多いです。

また、わざわざお水を汲みに来てくれる方や、何度も足を運んでくれる方、「たまたま飲んだ飯能水がおいしかったから」と、ふるさと納税サイトで購入して自宅で飲んでくれている方までいるんですよ。

地域一丸となって、おいしいお水を守る

水と暮らす編集部

多くの人が「また飲みたい」と思うようなお水なのですね。では、飯能市の水に対する考え方を教えてください。

沼崎さん

飯能市の水道水は、飯能市だけでなく埼玉県の他の地域や東京都にも供給されています。水道の上流域に位置しているからこそ、良質な水源を確保することや、給水の安全性や持続性を保全することはとても大切です。

水と暮らす編集部

具体的にはどのようなことに取り組んでいますか?

沼崎さん

飯能市の水道事業の目標を定めた「飯能市水道ビジョン」を策定しました。他にも、水道週間や各種イベントを実施して、市民に対する啓蒙活動をしています。また、過去の取り組みでは、有間ダムの親子見学会をとおして、水源の大切さやダムの役割を知ってもらったり、源流飯能水の水源である入間川源流付近の探訪ウォーキングを行ったりしてきました。

水と暮らす編集部

さまざまな取り組みをされているのですね。おいしいお水を維持するために、森林管理にも力を入れていると聞きました。

沼崎さん

はい。飯能市の76%は森林が占めていて、平成17年には「森林文化都市」を宣言し、自然と都市が調和した暮らしやすい町づくりを目指しています。

そして森林には「水源を養う機能」が備わっています。その機能を十分に発揮させるために、人工的な森林を適切に維持・管理する必要があるんです。こうした活動によって、たくさんの人たちに飲料水などの生活用水を届けることができています。

水と暮らす編集部

最後に、沼崎さんから消費者の方にメッセージをお願いします。

沼崎さん

「ウォーターマイレージ」という考え方を大切にしてほしいと思っています。 これは飲料水におけるフードマイレージのことで、飲料水の輸送に伴う環境への負荷を考慮して、できるだけ生産地と消費地までの距離を短くするという取り組みです。

森林文化都市でもある飯能市としては、ウォーターマイレージに貢献できる地域でありたいと考えているため、飯能市で飲料水を消費するなら、ぜひ地元の源流飯能水を飲んでいただきたいんです。
市内にお住まいの方はもちろん、観光などで他の地域から訪れる方にも、少しでも意識してもらえるとうれしい限りです。

源流飯能水の水源である入間川
▲源流飯能水の水源である入間川の源流付近。多くの観光客がおいしいお水を汲みに来ている。(出典:一般社団法人 奥むさし飯能観光協会公式サイト)

ライターのまとめコメント

取材では、飯能市および奥むさし観光協会様の「美しい自然環境を守っていきたい」という想いがひしひしと伝わってきました。同協会の日々の取り組みもあってか、奥武蔵を訪れる観光客の方々はとてもマナーが良いとのこと。自然環境を守り抜くためには、行政や協会、市民といった立場に関わらず、普段水を使っている私たちみんなで行動していく必要があります。私自身も、沼崎さんから教わったウォーターマイレージの考え方を取り入れるなど、環境保全に対する意識を高めていきたいと強く思いました。

奥むさし飯能観光協会公式サイト『源流飯能水』紹介ページ