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「出ずる水の地」富山県射水市の水の歴史と風景、おいしい水に出会う

2021.05.25

かつて「出ずる水の地」と呼ばれたほど、河川や地下水の豊富な射水市(いみずし)。射水市の水のおいしさを伝えるため「いいみず いみず」という地下水をペットボトルで販売するなど、射水市では水についての取り組みも盛んに行われています。射水市役所上下水道部の上下水道業務課・課長補佐/上水道業務係長の浦口一也さんに詳しくお話をうかがいました。

上部の写真について:射水市の地形や歴史をわかりやすく伝えるリーフレットや巻物、展示品を多く用意している。(写真提供:射水市役所上下水道部)
海王丸
海の貴婦人と称えられる「海王丸」。全部で29枚ある帆をすべて広げる「総帆展帆(そうはんてんぱん)」は見応えがある。(写真提供:射水市役所上下水道部)
 
水と暮らす編集部

射水市は比較的新しい市ですよね。市名の由来や地形、特徴を教えていただけますか?

 
浦口さん

本市は富山県西部に位置する射水平野が広がる穏やかな地形であり、北に富山湾、東に呉羽丘陵、西に庄川、南には豊かな丘陵地が広がっています。

扇状地であるこの地はかつて一大湿田地帯であり、中小の河川や地下水の豊富な土地の様子を見た古代の人々は、「出ずる水の地」と呼び、この言葉が「いみず」という地名の由来となったといわれています。

高度成長期の水需要増加に対応した水源の確保を富山県に求め、現在は富山県企業局が運営する和田川浄水場が主要な水源となっていますが、現在も庄川の伏流水が豊富な広上地区をはじめとする自己水源(井戸)を保有し、夏と冬の水需要が増加する時期に使用するとともに災害時の重要な水源となっています。

中世から港町として栄えた、港町風情が漂う内川の運河
中世から港町として栄えた、港町風情が漂う内川の運河。
(写真提供:射水市役所上下水道部)
 
水と暮らす編集部

水がきれいな土地だともいわれているのですよね。

 
浦口さん

5〜6月はホタルも見られます。市南部の丘陵地では農業用水の上で乱舞している様子が見られます。

水と暮らす編集部 

ホタルはきれいな水がないと生きられないのですよね。さぞかし美しい光景なのでしょうね。

ホタルの名所の画像
ホタルの名所では農業用水沿いの草刈り時期を調整するなどの対策も行われている。(写真提供:射水市役所上下水道部)
 
水と暮らす編集部

川や海に地下水まで、とても水に恵まれた場所なのですね。

浦口さん 

富山県全体が水に恵まれていますが、射水市はまず、水に困ったことがありません。また、古くから洪水対策に取り組んでいるため、大きな水害も少ないと思いますね。

水と暮らす編集部

災害時の備蓄方法や、対策を教えていただけますか?

浦口さん

本市の水道は南部丘陵地に配水池を設置し、高低差を利用した自然流下方式により、ほぼ加圧することなく市全域に配水が可能となっております。災害時には配水池の緊急遮断弁が作動し、復旧までに必要な水を確保することができます。

また、自己水源を所有しているため、可能な範囲への配水や給水車などを活用した重要拠点への応急給水が可能となります。

さらに「いいみず いみず」というペットボトル水を製造していますが、製造目的の一つに災害備蓄を掲げています。販売とは別に常時一定程度を飲料水として確保する役割も担っています。

射水市の地下水を詰めたボトルドウォーター「いいみず いみず」

 
水と暮らす編集部

射水市の水を詰めたペットボトル「いいみず いみず」はどんな水なのですか?

 
浦口さん

平成19年に製造を始めました。製造当初は災害備蓄が主目的でしたが、水道水の安全性・おいしさPRや本市のブランド力向上を目的に、平成28年度からモンドセレクションの最高金賞受賞とともに販売事業を開始し、ラベルを現在のデザインに変更しました。

2018年にモンドセレクションを受賞したボトル
2018年の水道版での最高金賞に続き、天然水へリニューアル後もモンドセレクション2020で最高金賞を受賞。「ふるさとを感じる 一滴のめぐみ」をコンセプトにしたデザイン。(写真提供:射水市役所上下水道部)
 
水と暮らす編集部

親しみやすく、おしゃれでステキなパッケージデザインですよね!

浦口さん

ラベルデザインは本市の魅力の一つである水の豊かさを市内外へ周知するとともに、その恵みに感謝することを目的に「ふるさとを感じる一滴のめぐみ」をコンセプトとして温かみのあるデザインとしました。射水市内に在住のデザイナーさんにお願いしています。

令和2年度からは射水の水そのもののおいしさをPRするため、水道水(塩素注入)から天然水(原水)へリニューアルしています。

広上地区の清浄な地下水を加熱処理し、ペットボトルに詰めたものであり、ミネラル分を適度に含み、飲みやすいのが特徴です。

水と暮らす編集部

とてもおいしそうですね! 以前の水道水に比べて味の違いはいかがですか?

浦口さん

飲み比べてみると、地下水の方が断然おいしいですね。後味もすっきりしています。有名メーカーのミネラルウォーターと比べてみたのですが、カルシウムはやや多く、マグネシウムは少なめでした。客観的にも、かなり甘みを感じるお水のようですね。ただし、水道水も十分においしい水だとは思います。

ボトルの写真
「いいみず いみず」の水は100mlあたり、ナトリウム0.66mg、カルシウム1.09mg、マグネシウム0.18mg、カリウム0.08mgを含んでいる。(写真提供:射水市役所上下水道部)
水と暮らす編集部

「いいみず いみず」はどこで手に入るのですか?

浦口さん

東京では日本橋室町にある「日本橋とやま館」で販売しているほか、市内では道の駅や川の駅・村の駅などで販売しています。ふるさと納税の返礼としても用意していますし、オンラインショップでの販売も検討しています。

射水市の水にまつわるおいしいさまざまな取り組み

 
水と暮らす編集部

イメージ動画「水のおはなし」を制作されていますが、こちらは何のために作られたのですか?

浦口さん

ラベルデザインが好評であったことから、「いいみず いみず」のPRとともに毎年市内の小学校で開催している水道教室の教材として活用するために制作しました。

6月に水道週間があり、小学3、4年生を中心に出前講座を開いていまして。アニメがあった方が子どもたちの興味をひきますし。

水と暮らす編集部

「いみずの水の歴史」という巻物も作られているのですよね。

浦口さん

イベントで展示するときに使っていますね。「いいみず いみず」で作るフレーバーウォーターの試飲会なども実施しています。

水と暮らす編集部

ほかにも配布されているリーフレットに掲載されているフレーバーウォーターのレシピを拝見したところ、レモンやスイカのほかに昆布を入れているのに驚きました!

浦口さん

富山県には何にでも昆布を入れる習慣がありますね。昆布の消費量が多くて、魚介類を昆布〆にしたり、焼酎にも昆布を入れたりします。水にもよく合ってうま味が増すと思いますよ。

射水市役所上下水道部が作成しているリーフレット
射水市役所上下水道部が作成しているリーフレットで提供している、「いいみず いみず」を使って作るフレーパーウォーターのレシピ。(写真提供:射水市役所上下水道部)
 
水と暮らす編集部

ほかにも、射水市で水に関係する食でおいしいものがあれば教えてください。

浦口さん

富山湾はの森の成分と酸素を含んだ栄養たっぷりの水が注ぎ込む恵まれた自然条件のおかげで、約500種類もの魚が獲れる「天然のいけす」と称されています。特にベニズワイガニが有名で、朝だけでなく、昼にもセリをします。新湊漁港の「昼セリ見学」は観光客の方にも人気です。富山湾の宝石と呼ばれる「白エビ」も有名ですよ。

また、鱒(ます)の養殖もしていて、富山名産の鱒寿司も食べられます。

ベニズワイガニが並ぶ「昼セリ」の様子
ベニズワイガニが並ぶ「昼セリ」の様子。(写真提供:射水市役所上下水道部)
 
水と暮らす編集部

おいしそうなものばかりで食べに行きたくなりました! ありがとうございました。

この記事のまとめ

  • 「出ずる水の地」と呼ばれた射水市は水が豊富でおいしい
  • パッケージもおしゃれなボトルドウォーター「いいみず いみず」が最高金賞受賞
  • 射水市の水にまつわるおいしい取り組み

日本橋とやま館:東京都中央区日本橋室町1-2-6 日本橋大栄ビル1F
イメージ動画「水のおはなし」https://youtu.be/_p2rvZrOqiQ