コーヒーで沖縄の海を救う35COFFEEの挑戦
地球が抱える環境問題を解決すべく、サステナブルに注目が集まる昨今。依然として、地球温暖化や海洋汚染の影響を受ける地域は増え続けています。それは私たちが住む日本も例外ではありません。例えば沖縄のサンゴです。年々、その数は減り続け、沖縄の海に大きな損害を与えています。
そういった状況を変えるべく誕生したのが「35COFFEE(スリーファイブコーヒー)」。風化したサンゴで豆を焙煎し、売上の3.5%でサンゴを海に植える活動を行っています。
今回は、梶山 純さんに35COFFEEについてお伺いしました。
サンゴを守る35COFFEEとは
-
「35COFFEE」では、風化したサンゴで焙煎したコーヒー豆の販売を行っています。アメリカンタイプでブラックでも飲みやすいテイストです。
私たちがサンゴを使ってコーヒー豆を焙煎しようと思ったきっかけは、「沖縄の海が汚くなってきている」というダイバーのひとことでした。私たちはもともとハイビスカスやゴーヤ、ウコンなどを使ってお茶の製造・販売を行っている会社で、ダイバーの彼はそこのお客様だったんです。何年も沖縄の海に潜り続けている彼の言葉は、私たちの心に深く刺さりました。
「いったいどういうことなのか」と私たちは沖縄の海で起きていることについて調べ始めました。その原因の一つに環境問題の影響によるサンゴの白化、減少があることに気が付いたんです。
沖縄の海は、透き通った水をはじめ、色鮮やかなサンゴ、そこに住む種類豊富な魚たちがいることで美しいと愛されていた場所です。しかし近年は、サンゴの白化や減少、それに伴う魚の減少が深刻化。 その結果、ダイバーが「沖縄の海が汚くなってきている」と感じていたんです。
「なんとかしなくては」、そこから私たちだからこそできることを探し始めました。
-
ちょうど、この頃は私たちの会社も新規事業を模索している時期で、お茶だけでなく何か新しいことに挑戦しようと考えていました。そこで思いついたのが、コーヒーです。当時はコーヒーのサードウェーブが訪れていて、世間でもコーヒーに注目が集まっていました。
コーヒーなら私たちの培ってきた焙煎技術も活かせるはず。「コーヒー×サンゴを救う活動」をしよう。こうして誕生したのが「35COFFEE」です。
コーヒーには、「直火焙煎」「炭焼き焙煎」「石焼焙煎」などさまざまな焙煎方法があります。そのなかで私たちが着目したのが、石焼焙煎です。これは、熱した石の遠赤外線で豆をじっくり焙煎する方法なのですが、石の代わりに風化したサンゴを使えるのではないか?と思ったんです。
風化サンゴをよく見ると、表面に無数の小さな穴があります。穴には酸素が溜まっていて、高温で火を入れると爆発する危険性もある。はじめのうちは焙煎方法に苦労しましたが、試行錯誤し、今では風化サンゴだからこそのコーヒーの味わいを出せるようになりました。
低温でじっくりローストするため、通常の石焼焙煎に比べると2倍以上の時間がかかりますが、その分、味わいも深いものとなっています。
沖縄でしか味わえないサンゴ焙煎のコーヒー
沖縄県のサンゴ礁は、海の生態系を守るため県外への持ち出し禁止。当社では、許可を取得している業者から風化サンゴを購入しています。つまりサンゴで焙煎したコーヒーは、沖縄でしか作ることのできな特別なものなんです。ぜひ一度ご賞味いただければと思います。
「35COFFEE」の商品は、オンラインショップで販売しています。コーヒー豆・粉だけでなく、1袋10パック入りの「テトラバッグコーヒー」もあるので、コーヒー器具がなくても手軽にお店の味わいを楽しめます。
売り上げの一部を使ってベビーサンゴを移植
そして「35COFFEE」では、売上3.5%を使って3〜5cmのベビーサンゴを移植するサンゴ再生プロジェクトも行っています。
世界に生息しているサンゴ礁のうち、半数以上の種類が沖縄近海で確認されています。サンゴにとって沖縄はそれだけ重要な場所なんです。
しかし近年は海水温の上昇によりサンゴ礁の白化や死滅が深刻化。ここ10年の間で、10分の1近くまで減少しています。地球温暖化が進めば、2050年には世界のサンゴ礁が全滅するともいわれているんです。
このままでは沖縄の美しい海が失われてしまう可能性があります。2009年3月の活動開始からこれまでに、合計4,000本を超えるベビーサンゴの移植に取り組んできました。まだまだ昔の数には及びませんが、少しずつでも積み重ねていくことが大切だと思います。
多くの方が「沖縄=海がきれい」というイメージを持っていらっしゃると思います。そのイメージが変わらないように、これから先も美しい海とサンゴ礁を守っていきたいですね。
私たちのコーヒーが環境問題に目を向けるきっかけになれば嬉しいです。
35COFFEE